ユマ ニチュード 本。 認知症ケア「ユマニチュード」|イラストで解説する基本の柱「見る」「話す」技術 (1/2)

【認知症】ユマニチュードとは?がわかる本『ユマニチュード入門』の感想

ユマ ニチュード 本

ユマニチュード(Humanitude)とは「人間らしさ」「人間らしさを取り戻す」という意味をもつフランス語の造語。 認知症を患っている高齢者の方に有効とされているフランスで生まれたケアメソッドです。 ユマニチュードは「ケアをする人とはなにか」「人とはなにか」という 哲学的な考え方と「言葉と言葉以外(表情・視線・身振りなど)」の コミュニケーション方法が基盤となっています。 ケアをする際、 これまでのように「ケアする人」「ケアされる人」というような考え方は持ちません。 ユマニチュードでは、ケアを受ける方との関係性を第一に考え「人と人の関係」「絆の質」に重きを置きます。 ユマニチュードのケアメソッドは「見る・話す・触れる・立つ」という4つの要素に加え、5つのステップである「出会いの準備~再会の約束」までを物語のように一連の流れでおこなうというものです。 ユマニチュードは、ケアを受ける高齢者だけに効果があるのではなく、ケアをする方の燃え尽き症候群(バーンアウト)も予防できるとして注目されています。 <ユマニチュードの歴史> ユマニチュードは、フランスの体育学の専門家「イヴ・ジネスト」と「ロゼット・マレスコッティ」の2人が開発したケアの技法です。 日本では、2012年に初めてユマニチュードが導入されました。 2014年には、日本ユマニチュード学会の前身となる「IGMJ(ジネスト・マレスコッティ研究所日本支部)」を発足し、国内でのユマニチュードのケアの研修や研究の拠点として活動が始まりました。 そして、2019年7月に「一般社団法人 日本ユマニチュード学会」が設立されました。 (h2)ユマニチュードの基本となる『4つの柱』について ユマニチュードの基本となる『4つの柱』について ユマニチュードの4つの柱とは「あなたを大切に思っていますよ」「あなたは私にとって大切な存在ですよ」ということを、 相手に分かるように伝えるための技術です。 相手のことをどれほど大事に思っていても、心のなかで思っているだけでは相手にはその気持ちは届きません。 その表現の方法が、4つの柱といわれる「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの技術。 4つの柱のうち、どれか一つをおこなえばいいのかと思っている方はいるはず。 しかし、 気持ちを伝えるにはこの4つの柱から「2つ以上を組み合わせておこなう」ということが必要かつ重要なポイントです。 ユマニチュードのケア技術は全部で150以上におよび、その技術は特別なものではなく日常のケアで使えるものばかり。 実際に、どのようなことをおこなうのか4つの柱について見ていきましょう。 『見る』技術について 「見る」では、ケアをおこなう相手の目を見ることが大切だとされています。 利用者のケアをおこなう際、多くの介護職の方は相手ではなくケアの対象部位を見ていることがほとんどです。 ここでの「見る」は、ケアの対象部位を見るのではなく、相手を見ることで「大切に思っている」ということを伝えなければなりません。 昔から「目は口程に物を言う」ということわざがあるように、言葉に出さなくても目の表情で相手に気持ちが伝わります。 そのため、いくら大切に思っていても相手の目をしっかりと見なければ、その気持ちは伝わりません。 また、見ることで伝わるメッセージは、相手を見る位置でも変化します。 たとえば、自分よりも上の位置から見下ろされて話されるとどう感じるでしょうか? 少し圧を感じたり、見下されていると感じたりと不快感を抱く方は多いはずです。 自分ではそんなつもりはなくても、見下ろすことで相手に「私の方が強い」という否定的な非言語の言葉が届いてしまいます。 そのため、相手を見る際の高さや距離も「見る」ことで重要なポイントとなります。 目の高さは、同じ高さで見ると「平等な存在」近くで見ると「親しい関係」正面からでは「正直であること」というメッセージを相手に伝えられます。 『話す』技術について 「話す」では、相手に優しさや心地よい状況を届けることが大切です。 介護職の方がケアをおこなう際、「動かないでくださいね」「すぐ終わります」といった言葉をかけている方は多いはず。 しかし、これらの言葉は「命令」という意味が含まれてしまうため、相手が優しさを感じることはできません。 その方法は、伝えたいことに合わせて「声の大きさ・低さ・ポジティブな言葉を発する」などの技術を用います。 たとえば、声の大きさは大きすぎない声であれば「穏やかな状況」低めの声は「安定した関係」ポジティブな言葉は「心地のよい状態」ということを伝えることが可能です。 ケア中によくあるのは、話しかけても返事が返ってこず次第に言葉数が少なくなってしまい気づいたら無言で作業しているということ。 無言の状況というのは「あなたはここに存在しない」という否定的なメッセージとして伝わってしまいます。 そうならないために、ユマニチュードでは自分の行っているケア内容を実況中継します。 たとえば「温かいタオルを持ってきましたよ」「あたたかくなりましたね」「気持ちいいですか」などの言葉をかけ続けて、ケアの現場に無言が起きないようにします。 『触れる』技術について 「触れる」では、手から愛情や優しさを伝えることが大切です。 相手への触れ方次第では、興奮のきっかけや暴言、暴力、ウロウロと歩き回るなどの行動・心理症状が現れるきっかけとなることもあります。 更衣介助や歩行介助、排泄介助など、なにかしらのケアをおこなう際、必ずどこかに触れているはず。 しかし、そのとき自覚はなくても相手をつかんでしまっていることがあります。 触れることも相手に「大切に思っている」というメッセージを伝えるための手段の一つです。 手から優しさを伝えるには「広い面積で触れる」「つかまない」「ゆっくりと手を動かす」など、手に意識を向けることが必要となります。 また、コミュニケーションを取るうえで触れる場所にも注意が必要です。 触れる順番としては、、背中や肩、ふくらはぎなど鈍感な場所から触れ、徐々に手や顔などの敏感な場所に進めましょう。 『立つ』技術について 人間は、2本の足で立ち歩く動物です。 そのため、立つという行動は「人間らしさ」が現れることの一つといえます。 また、 人間は立つことによって身体のさまざまな生理機能が活発に働くようになっています。 そのため、ユマニチュードでは1日合計20分立つ時間を作ることをすすめています。 これを実施することで、立つ機能が保たれ寝たきりになることを防ぐことが可能です。 歩行ができるのであれば、トイレや食堂への移動、また洗面やシャワーを座らずに立っておこなうなど、ケアをする際にできるだけ立つ時間を増やすことで、1日の目標時間を達成することが可能です。 4つの柱は、介護現場でケアをおこなっている方にとって「当たりまえ」だと思うことばかりだったのではないでしょうか? しかしながら紹介した4つの柱は、実践出来ていないことがほとんどです。 出来ていると思っていても、実際は作業をすることに必死になってしまい、相手に対して「大切に思っていること」が伝えられていないというのが事実です。 とはいえ、ユマニチュードは今のケアを見直し4つの柱を取り入れればいいというものではありません。 次の5つのステップに沿っておこなうことが重要とされています。 ユマニチュードのケアは『5つのステップ』を守ることが重要! ユマニチュードでは、すべてのケアを物語のように「5つのステップ」に沿って実施します。 ステップの流れは以下のような構成となっています。 (1)出会いの準備(自分の来訪を告げる・相手の領域に入ってよいか許可を得る)(2)ケアの準備(ケアの合意を得る)(3)知覚の連結(ケアをする)(4)感情の固定(ケアの後、一緒に良い時間を過ごしたことを振り返る)(5)再会の約束(次のケアを受け入れてもらうための準備) いずれのステップも、4つの柱(見る・話す・触れる・立つ)を組み合わせてコミュニケーションを取り、相手との絆を築くことが目的です。 Step1『出会いの準備』~来訪を伝える~ 出会いの準備は、利用者に来訪を伝えることです。 友人など誰かの自宅を訪問するときのように、まずはドアをノックをします。 ノックをすることで、部屋の中にいる利用者に「誰かが会いに来た」ということを知らせます。 部屋に入ることを受け入れるのかどうかは利用者自身で選択してもらいます。 3秒という時間を挟むことで、利用者の脳が活性化する水準を徐々に高める効果があり、脳が人と会う準備をするようになります。 Step2『ケアの準備』~関係性を築く~ ケアの準備は「あなたに会うために来たよ」というメッセージを伝えて、利用者との関係性を築きます。 そのため、部屋に入ってすぐにケアの話をするのは避けましょう。 親しくなれるような言葉や態度をとり、正面から近づき目を合わせ3秒以内に話始めることがポイントです。 話かける際は、4つの柱にある見る、話す、触れるの技術を組み合わせながらポジティブな言葉で話しかけ、利用者との絆を作ります。 ケアの提案をして3分以内に本人の同意が得られない場合は、一旦ケアをあきらめましょう。 ケアの準備をこなうことで、利用者がケアに協力的になり攻撃的な行動が減少するため、ケアをスムーズに進めていくために必要なステップです。 Step3『知覚の連結』~心地よいケア~ 知覚の連結は、4つの柱にある「見る」「話す」「触れる」の技法を少なくとも2つ以上同時に用いて「あなたのことを大切に思っている」というメッセージを届け続けます。 利用者に届けるメッセージに矛盾が生じないように、言葉と行動に調和を持たせることがポイント。 本人が感じるもの全てが同じ意味を持ち、ケアがポジティブなものとなるようにすることが大切です。 たとえば、入浴介助で「背中を洗いますね」「気持ちいいですか」と言葉をかけても返事が得られない場合もあります。 しかし言葉で反応がなくても、呼吸がゆっくりになっていたり、身体の力が抜けてリラックスしているなど、何らかのメッセージを利用者から読みとることができます。 Step4『感情の固定』~ケアの心地よさを記憶に残す~ 感情の固定は、ケアを受けた経験をポジティブな感情記憶として残すこと。 ケアの後、一緒に良い時間を過ごしたことを振り返り「気持ちよかったですね」「綺麗になって気持ちいいですね」と声をかけます。 ここでは、 本人が「気持ちのいい時間を過ごせた」と感じることが大切です。 認知症の方は、前回のケアの内容などは忘れてしまうことが多いですが、感情記憶は残るため「誰だかわからないけれど優しい人」「嫌なことをする人」などは覚えています。 そのため、利用者にポジティブな感情を伝えたうえで、次のケアに繋げる締めくくりをすることが重要です。 Step5『再会の約束』~次回のケアを受け入れてもらうための準備~ 再開の約束は、 期待感や喜びを感情記憶として残すことです。 認知症の方は「また来ますね」「また会いましょうね」と約束をしても、覚えていない場合もあります。 しかし「優しい人にまた会える」という気持ちは感情記憶として残るため ポジティブな印象を残すことで、次回も笑顔で迎えてくれ、ケアをスムーズに受け入れてくれるようになります。 これら5つのステップは、どれも欠けることなく一つの流れとしておこなうことが必要です。 ユマニチュードは介護スタッフにも良い効果がある?! 認知症を患っている方は、ときに行動・心理症状が現れ攻撃的な言葉や態度になることがあります。 また、ケアを受け入れてくれないことも多々あり、格闘するかのようにケアをおこなう場面は少なくないはず。 そのため、ケアをする介護職の方や家族などは体力的にも精神的にも消耗してしまいます。 介護職の方のなかには、認知症介護のあまりの大変さに燃え尽き症候群(バーンアウト)を起こしてしまう方もいるほどです。 しかし、ユマニチュードのメソッドでケアをおこなうことで、利用者の攻撃的な言葉や態度は和らぎ、感情が穏やかなになり、社交的な姿を取り戻していきます。 ユマニチュードでは、コミュニケーションをとり相手との関係性を第一にするため、相手の同意が得られない場合は一旦ケアを諦めるなど、ケアを実施するまでに時間がかかることもあります。 しかし、ユマニチュードをおこないケアをすんなりと受け入れてくれるようになれば、結果としてこれまでのケアよりもはるかに時間短縮に繋がり、また介護職の方が受けるストレスも大幅に減少させることができます。 ユマニチュードをおこなう最大のメリットは、ケアを受ける方とケアをする方(介護職や家族など)どちらもが穏やかな気持ちで日々を過ごせるようになるということです。 さいごに ユマニチュードは、強制的なケアを無くすことが目的です。 そのためには、お互いを尊重して一人ひとりが敬意を持って相手に接すれば絆が生まれ、認め合うことができるでしょう。 実際ユマニチュードは、時間に追われ常に忙しい介護現場での実施は、周囲の理解がないとなかなか難しいかもしれません。 しかしながらユマニチュードは、利用者にとってケアが楽しみになり、ポジティブな感情記憶を残すことができる技術です。 また、スタッフのストレスや軽減や燃え尽き症候群(バーンアウト)の予防、また仕事の効率化に繋がるという点でも積極的に導入していきたい技法だといえます。 介護の転職ならカイゴWORKER! 職場選びや面接に不安な方はぜひ介護ワーカーまでご相談ください。 求人のご提案、履歴書添削、面接同行まで・・・ 経験豊富な専任アドバイザーがあなたの介護職デビューをサポートいたします!.

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ユマニチュードの意味とは?基本は見る、話しかける、触れる、立つ?

ユマ ニチュード 本

ユマニチュードは、フランスで生まれ、その効果の高さから「まるで魔法」と称される介護技法です。 ユマニチュードの哲学では、ケアをするときに「人とは何だろう」と考え続けます。 人は、そこに一緒にいる誰かに『あなたは人間ですよ』と認められることによって、人として存在することができるのです。 「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を軸にした「技術」で、相手を尊重したケアを実現します。 この連載では、ユマニチュードの考え方と具体的な実践方法を紹介します。 優しさを伝える技術 「あなたのことを大切に思っている」ことを伝えるための技術 「あなたのことを大切に思っています」ということを介護を受ける方が理解できるように伝えるために、ユマニチュードではケアをするときにはいつも、4つの柱・「見る」「話す」「触れる」「立つ」を用いて行います。 とくに目新しいことはないように思えますが、介護をするご家族が「見て、話して、触れる」とき、それは「自分がやりたいことをするために」行っていることがほとんどです。 たとえば、食事の介助をするときに口元を見たり、着替えてほしいときに「さあ、着替えますよ」と話しかけたり、体を洗うときに手首をつかんで腕を持ち上げたりしています。 これらの行動は食事、着替え、入浴、というような、いわば「作業」のための動作で、この動作に「あなたを大切に思っていますよ」というメッセージを見つけるのは困難です。 もちろん、食事をしたり、着替えをしたり、入浴をしたりすることは必要なことですが、これを単なる「作業」の時間にするのではなく、この時間を「あなたのことを大切に思っています」というメッセージで満たされた、コミュニケーションの機会であるととらえ、介護を受ける人とよい関係を結ぶ時間になっていくように心がけます。 大切な人を前にしたときに無意識に行っていること 実は、私たちは自分が大切だと思っている相手に対しては、ユマニチュードの4つの柱「見る」「話す」「触れる」「立つ」を無意識に行っています。 大切な存在の象徴として、赤ちゃんを例に挙げて考えてみます。 赤ちゃんを目の前にしたとき、誰もがその目をのぞき込んで、見つめながら「かわいいね」と話しかけ、両腕でしっかりと抱きかかえます。 これは人の自然な反応です。 同じように、生涯を通じて誰かとよい関係を結びたいと思うとき、人は無意識にこの行動をとっています。 たとえば大好きな恋人と過ごしているときのことを想像してみてください。 とても近い距離で見つめ合ったり、素敵な言葉をささやいたり、しっかりと触れ合ったりした経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。 介護を受けている人には、それを意識的に行う しかし、その対象が介護を受けるような脆弱で困難な状況にある方の場合には、このような行動を自然に行うことは誰にとっても難しいのです。 ここで「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを届けるためには、 大切な人に対して自分が無意識に行っている行動を、意識的に行います。 つまり、「自分が大切だと思う人を自分はどう見ているか、話しかけているか、触れているか」を改めて振り返り、それを「技術」として実践することが必要になるのです。 気恥ずかしくても、思い切ってやってみる 私たちは、ご家族の介護をしていらっしゃる方々を対象にした講習会を開いています。 そこでは、とりわけ「見る」「話す」「触れる」技術についてじっくりとお伝えしています。 多くの方は、当初気恥ずかしくお感じになるようです。 しかし「これは相手とよい関係を結ぶための技術なのだ」とご自分に言い聞かせて、思い切ってやってみてください。 実際に2時間の講習会の中で、参加している方々がどんどん変わっていくことを私たちは毎回目の当たりにしています。 思い切ってやってみると、介護を受けている方からこれまで思いもよらなかった反応が返ってくるかもしれません。 これまでにないよい反応が返ってきたなら、それは相手とよい関係が築けた証拠です。 この本では、相手とよい関係を結び、ともによい時間を過ごすための基本的な考え方とその方法について、とりわけ認知症の方への介護を中心にお伝えしていきます。

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【認知症介護の本】ユマニチュードの技術1 見る(上)

ユマ ニチュード 本

「ユマニチュード」というフランス発祥のケアを、聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。 介護職員向けの技法ですが、家庭でも実践できるものです。 高額な用具や治療も必要ないので介護家族からも注目を集めています。 魔法のようと表現されることのある「ユマニチュード」ですが、どんな方法で、どんな効果が期待できるのでしょうか。 ユマニチュードの目的 ユマニチュードとは、イヴ・ジネストさんとロゼット・マレスコッチさんがつくり出したケアの技法です。 もちろん全員に効果があるわけではありません。 それでも機械的に介護をしたり、安全のために患者の自由を奪ったりしないユマニチュードは、介護をする側にとっても喜びや楽しみを見つけやすい方法です。 ユマニチュードの本の中で、この技法は「優しさを伝える技術」と表現されています。 ユマニチュードの4つの基本 ユマニチュードの基本は、は「見つめる」「触れる」「話しかける」「立つように支援する」の4つです。 動作一つ一つはごくごく単純で、家庭でも取り入れることができます。 見つめる 患者は視界が狭くなっているため、目線を患者に合わせ、できるだけ近く、長く見つめます。 触れる 立ち上がらせたり、体を動かしたりするときに、ついつい手首をつかんでしまいがちです。 そうではなく、下から支えるように腕を取りましょう。 話しかける ケアをする際に、心地よい言葉で優しく話しかけ続けましょう。 シャワーを嫌がっていた患者が、おとなしく受け入れただけではなく「お湯が気持ちいい」と言ってくれた例もあります。 立つことを支援する 「できるだけ立つことで人の尊厳を自覚する」と、ユマニチュードの考案者のひとり、イヴ・ジネスト氏は語ります。 ユマニチュードの研修を受けたばかりという介護施設からは、こんな実践動画が投稿されています。 このとき、介助する人も脇をしめるのがコツのようです この施設では「歩行困難な方が少しずつこの方法で歩行できるようになっている気がします」と、効果を実感しているそうです。 ユマニチュードの5つのステップ ユマニチュードでは、出会いから別れまでに5つのステップがあります。 出会いの準備 出会いの準備では、自分が来たことを知らせるために扉やベッドボードをノックします。 ケアの準備 ケアの準備では、「お風呂に入ろう」「トイレに行くよ」と、これから何をするつもりなのかを伝えて、合意を得ます。 このプロセスで大切なのは、 ・本人が嫌がったら強引には行わないこと ・3分以上時間をかけないこと ・最初からケアの話はしないこと です。 知覚の連結 「見る」「話す」「触れる」の2つ以上の感覚に訴えかけるようにしましょう。 このときに意識しておくことが、知覚の連結です。 優しい笑顔を見せていても、話す言葉が冷たいものだと知覚は連結しません。 感情の固定 気持ちよくケアができたことを、記憶に固定するプロセスです。 お風呂から上がって「さっぱりした」、トイレから出て「すっきりした」、ご飯を食べて「おいしかった」という感情を言葉であらわすことで、共に過ごした良い時間を感情記憶に残しましょう。 再会の約束 前のプロセスで心地よい感情を固定したうえで再会の約束をします。 これも「感情の固定」と同じく、次回のケアを受け入れてもらいやすくする効果があります。 簡単に内容をまとめました。 より詳しく知りたい人は、「家族のためのユマニチュード」(誠文堂新光社)を参考にしてください。 難しく思えるかもしれませんが、一連の流れは「人が誰かと良い関係を築いて楽しい時間を過ごすために自然にやっていること」だと、本には表現されています。 友人との付き合いの時間とケアの時間の比較もわかりやすいイラスト付きで解説されていて、とても分かりやすい1冊です。 最も大切な事 ユマニチュードのケアで最も大切なことについて、で、ジネスト氏はこう説明しています。 ・私たちが友人である、そして人間であるということを、感じてもらうことが大切 ・治療する傷が中心ではなく、ケアをする側とそしてケアをされる側の絆が中心ということ これらの基本以外にも具体的には150の手法があり、全国で講演会や研修会も開催されています。 ほとんどが家庭でも簡単に取り入れられるものばかりです。 より詳しい内容については、介護職員向けの「ユマニチュード入門」(医学書院)にて解説されています。 ユマニチュードで変わるの人 をきっかけに周囲とうまくかかわれなくなった方が、ユマニチュードで変わる姿をおさめた動画があります。 言葉の通じないジネスト氏ですが、それでも話しかけながら手に触れ、そして相手に触れてもらいます。 立ち上がる代わりに椅子に座ってもらい、「健康になりたいですか?」と話しかけると、おじいさんは英語で「イエス」と答えました。 本来の明るさを取り戻したおじいさんは、ピースサインでジネスト氏を見送りました。 ユマニチュードの歴史 もともと体育学の教師だったイヴ・ジネストさんとロゼット・マレスコッチさんは、フランスの医療機関で看護師を対象に腰を痛めない技術の指導を行っていました。 そして高齢者ケアに関する実情を目の当たりにしたふたりが、1979年に生み出したのがユマニチュードです。 本国フランスでは400以上の医療機関や施設で導入されています。 ユマニチュードを日本の国立病院機構東京医療センターで行ったところ、状況が理解できずに治療を拒否している患者や、怒りっぽい、意欲がなくなるなどの症状を見せていた患者に大きな効果が見られたそうです。 その結果として、患者だけではなく、ケアに関わる全ての人が穏やかに過ごせるようになります。 2014年には、ベルギー、スイス、ポルトガル、ドイツ、カナダに続く6番目の国際拠点が、日本に誕生しました。 代表を務めているのは目黒区にある国立病院機構 東京医療センターの本田美和子内科医です。 本田医師は、2011年10月にフランスの病院や施設を訪れ、ユマニチュードに触れた際に、日本の看護や介護問題を根本的に解決できる可能性を感じたのだそうです。 2012年2月には考案者であるイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏を招き、講演会を開きました。 2014年1月までに国立病院機構 東京医療センター、国立国際医療研究センターなどの国立病院のほか、東京都健康長寿医療センター、東京都看護協会、東邦大学看護学部などの病院を中心に、多くの看護師が研修を受けています。 ユマニチュードの日本支部では、専門職向けの研修会のほか、一般の方向けの講演会も開催しています。 実践した安心介護会員の声 ユマニチュードは介護職員向けの技術ですが、各家庭でもアレンジして取り入れることが可能です。 それでは実際に、ユマニチュードを実践した安心介護会員からは、どんな声が上がっているのでしょうか。 暴言や攻撃的な反応が激減 「ユマニチュードは技術」 昨年ユマニチュードを勉強したときにも、そんなに簡単に行くわけはない、と。 そして、ユマニチュードは技術です、とおっしゃる言葉にも、なかなかうなずくことが正直できなかったんですね。 ただ、この1年、つかみ合い、ののしり合いを経るなかで、ふと、思い立って、試してみ始めたことがありました。 の父に、話しかけるときに、まず、お父さん、と立場を明らかにして、自分が娘に対して上位にいる、ことを意識してもらってから声の高さを、できるだけ低く、ゆっくりと、そして、 やってもらいたいことがある場合に、できるだけシンプルに、言葉を短く、順序立てて、そして、かならず、父が選ぶ、というかたちで、選択権を与えて、日常の行為をしてもらっていると、暴言や攻撃的な反応が激減したんです。 というても、いつもできるわけやのうて、私が自分でそのことを忘れて、いつも通りに話してしまうと怒鳴り合いになってしまうことも多いのですが(笑) ちょっとだけですが、ユマニチュードが技術やということを理解できた気がしました。 共感広場「」コメントより 家庭で導入した具体的な方法 「いうても、おひとりおひとり状況は違うので、参考にならへんかもしれません」としたうえで、自宅で導入した具体的な方法を紹介してくれた方もいます。 テレビで紹介された、ユマニチュードの専門書も取り寄せて、読んでみました。 なるほどと思いつつ、 朝から晩まで、眉間にしわをよせていて、瞬間湯沸かし器のような父への対応に、どう適用させていけばええのか、具体的に思いつかず悩んでいたのですが。。。 あるとき、ふと、思いついたのは、混乱しないように、話を、かみくだいて少しずつ入れていって、自分のほうが、エライと感じられて、プライドが満足するそういう接し方なら、怒らへんのやないかと。。。 それで、2年半ほどのあいだ、怒鳴りあい、掴み合いを続けたのち、半年ほど前から、試してみたことがいくつかあります。 <具体例1> 〇お父さん、と、優しく呼びかけて、間をおく (自分のほうが親でえらいと感じられるように) 〇声は、低めで、ゆっくりと、話しはじめる。 (私の声は高いので、苛立ちを生みやすいので。。 それに最近気がついたのですが、話の内容よりも 話される声のトーンや、話しかけられ方、のほうに ものすごく敏感になっている、ので、オーバーなくらい ゆっくり、低めに、高圧的にならへんように、してます。 ) 〇一連の文章として、話をせずに、ひとつずつ、 理解して、先へ進めていくように、段階を経るように、話す。 〇顔や目を正面で見ながら、話をする。 〇自分がしてほしいから、ではなく、父のために メリットがあるので薦めている、というかたちにする。 〇必ず、父に、選択権があるような問いのかたちにして、 相手に問いかけることで、こちらがやってもらいたいことを 前提のなかに、隠しこんで、しまう。 <具体的に言いますと> ご飯の前に、シャワーをしてもらいたいとき <お父さん> <シャワーのこと、尋ねてええ?> <今日、暑かったやろ? シャワーしといたら、汗のにおい、せえへんようになるよ。 > <今、シャワーしとく? それとも、ご飯食べてからにする?> <着替えは置いてあるよ。 シャワーしてる間に、ご飯作っておけるよ。 ご飯食べてしもたら、眠うなるかもしれんなぁ。。。 > というふうに、シャワーをすることは、既定のこと、としてしまって、けれども、最後の選択肢は、今はいるか、後にするか、は、父次第で、こちらはそれに従う、というかたちにしてしまうことで、シャワーをしてもらう、という本来の目的を達れば、成功という感じです。 共感広場「」 一部分だけ取り入れた方も 先日NHKでについての特集をやっていました。 この中でフランスの理論であるユマニチュードの解説をしていて試してみたところ、とても穏やかな時間を過ごせています。 (中略) 番組ではユマニチュードについて ・笑顔で目をしっかりと正面から見つめる ・実況中継のように話しかける ・支えるように触れる ・寝たきりにしない という4つの基本を説明していましたので、特に意識して「笑顔で目をしっかりと正面から見つめる」を実践してみました。 またしんどいと訴えるのはもしかして睡眠不足が原因かもとも思い、寝姿を観察してみたところ、少々無呼吸症候群気味では?と感じて枕の位置などを替えてみたり。 すると常にぼんやりとしてしんどいしんどいと訴えていたのが、ぐんと穏やかになり、しっかりと話し、笑顔も見せ、昨日の記憶を話し、驚きました。 すると自分の気持ちも落ち着き、さらに母に優しくできる。 不思議なものです。 共感広場「」 また、踏み切れないという方からは、「24時間一緒にいる家族にできるかどうか」と不安に感じる声が上がっています。 ユマニチュードに限ったことではありませんが、完璧にこなすことを考えずに、まずはできるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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