ジョジョ ラビット 映画。 「ジョジョ・ラビット」ネタバレとあらすじ、結末と感想(最新情報!)

ジョジョ・ラビットの上映スケジュール・映画情報|映画の時間

ジョジョ ラビット 映画

全ての要素が隙間なく噛み合った大傑作です。 日本では、『マイティソー・バトルロワイアル』の監督を担当したことで有名です。 本作『ジョジョ・ラビット』では、マオリ系ユダヤ人であり、父親がいない母子家庭だったという監督自身の出自が大きく反映されています。 つまり、主人公のジョジョは、幼き日のタイカ・ワイティティ監督の姿なのかもしれません。 強く、気高く、美しい… 幼いジョジョを大きな愛情で抱きしめる、まるで、この世界の正しさの全てを内包したかのような母親を演じたスカーレット・ヨハンソンの「何もしていない感」がとにかくすごいです。 本年度最高の助演女優と称されるのも納得の名演技です。 『ジョジョ・ラビット』あらすじ C 2019 Twentieth Century Fox 第二次世界大戦下のドイツ。 10歳の少年ジョジョは、彼だけのイマジナリーフレンド(空想上の友達)アドルフ・ヒトラーのアドバイスのもと、立派な青少年ダンヒトラーユーゲントになるために、日々奮闘していた。 「人殺しだって余裕でやれるんだ」 口ではそう言っても、ジョジョは、本当はとても心が優しい少年。 1936年には国で唯一の青少年団体として、法律によって10〜18歳の青少年の加入が義務付けられた。 目的は、ナチスのイデオロギーを青少年に植え付け、ヒトラーに仕える忠実な少年兵を育成すること。 社会主義者マルクス、ユダヤ人詩人ハイネ、アメリカ人作家ヘミングウェイなど、多くの書物が燃やされた。 ジョジョの母も関わっていた。 エルサが敬愛する作家として劇中に名前が上がる。 広く知られているのは「アンネの日記」のアンネ・フランク。 ザ・ビートルズとデヴィッド・ボウイ オープニングで高らかに鳴り響いた、ザ・ビートルズの名曲「抱きしめたい」に驚いた。 「第二次世界大戦中のドイツが舞台の映画で、なぜ、ビートルズ?」 しかし、本編が進むにつれて、驚きと違和感は、次第に、納得と感動へと変わっていく。 「抱きしめたい」の後にも、トムウェイツの「大人になんかなるものか」ラヴ「エヴリバディズ・ガッタ・リヴ」、そして、本作の主題歌をも担っているデヴィッド・ボウイの名曲「ヒーローズ」など、時代も文脈もまったく異なった、しかし、その時代その時代を彩った、珠玉の名曲たちが流れる。 時代設定や社会的背景を潔く無視したタイカ・ワイティティ監督ならではの確信犯、愉快犯的な選曲の妙。 冒頭の「抱きしめたい」は、「この映画は、こういう感じでやっていきます。 こういう映画です」という宣言としての宣言歌だったのだ。 デビュー直前にドイツのハンブルグで行われた2度の巡業や、アストリット・キルヒヘアとの出会いが伝説のバンドを形作ったことは、有名な話だ。 『ジョジョ・ラビット』で使用されている「抱きしめたい」は、ドイツ語バージョンだ。 おなじみのイントロの後に聴こえてくるジョン・レノンとポール・マッカートニーの歌声は、すべてドイツ語だ。 使用されている「ヒーローズ」も「抱きしめたい」同様に、ドイツ語バージョンのもの。 (ボウイ自身も出演したウール・エーデル監督「クリスチーネ・F」のためにボーカルを再レコーディングしたもの) ラストまで来れば、今さら何が流れようとも驚かない。 驚きはしないが完全にヤラれた。 「ヒーローズ」をバックにステップを踏むジョジョとエルサの姿に、ザ・フーの名言「」を思い出した人も多いはずだ。 ボウイは、1977年から1979年にかけてドイツのベルリンに移住していた。 彼の半世紀にも及ぶキャリアの中でも、最もクリエティビリティに富んでいたとされる時代。 この間にリリースされた「ロウ」「ヒーローズ」「ロジャー」は、世に『ベルリン三部作』と呼ばている。 60年代のビートルズによってはじまり、70年代のボウイによって終わる『ジョジョ・ラビット』。 偶然にもこの世に存在した、二つの名曲のドイツ語バージョン。 『ジョジョ・ラビット』の成功と完成には、この二つのピースが必要不可欠だったのだ。 10歳の少年から見た世界は、ナチスの非人道的独裁政権のさなかにあっても、その美しさを少しも失ってしなってはいないのです。 当時のドイツ人の暮らしを捉えたモノクロ写真をヒントに、家具や壁紙、小物に至るまで、ポップで楽観的な色使いに大胆アレンジされたの世界。 色調だけみれば、第二次世界大戦のドイツが舞台の映画だとはだれも思わないでしょう。 ホロコーストという人類史上最悪の出来事をテーマにしている本作だけに、幸福感に包まれた美術が観客にもたらす視覚的効果は絶大です。 とくに、ジョジョの母親ロージーのカラフルでハイセンスなファッションがとても素晴らしい。 タイカ・ワイティティ監督は、以下のような発言をされています。 『第二次世界大戦をテーマにした映画では、人々は皆、茶色や灰色の洋服に身を包んでいるが、しかし、当時は、明るい色やおしゃれなデザインの洋服がたくさんあった。 人々は、今日が人生最後の日になるかもしれないと思い、毎日を生きていた。 だから、常に一番良い服を着て、きちんと化粧をしていたんだ。 』 ロージーの洗練されたスタイリングが、『ジョジョ・ラビット』の世界を鮮やかに彩っていました。 映画史に残る名シーンと言ってもいいほどです。 美術、衣装、演出、脚本、演技…すべての要素によって導かれた先にある万感のラスト。 ジョジョの物語の「本当の始まり」を是非、その目で確かめて下さい。 あとがき C 2019 Twentieth Century Fox 『ロックンロールは、別に俺たちを苦悩から解放してもくれないし、逃避させてもくれない。 ただ、悩んだまま踊らせるのだ』 映画館を後にする僕の頭の中に真っ先に浮かんだのは、ザ・フーのピート・タウンゼントの名言でした。 悲惨な歴史は変えられない。 失ったものはもう戻ってこない。 逃げられない。 だから、踊ろう。 今だけは、君と二人で。

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映画『ジョジョ・ラビット』感想・ネタバレ・あらすじ【We can be Heroes】

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つまり、ジョジョの心情の変化が肝であり、この映画が伝えたかったことである。 ナチスとしてのジョジョ 出典: そもそもジョジョは非常に純粋であると言える。 はじめ、ジョジョは空想上の友人がヒトラーであるように、ナチスに対して絶対的な忠誠をしておりユダヤ人に対しては強い偏見を持っている。 そして空想上のヒトラーに支配されているのだ。 この頃ジョジョは未熟であったと考えられる。 ナチスの洗脳によってユダヤ人を差別しており、自らがナチスに加担していることを誇りに思っている。 しかしそんなジョジョの家には、ユダヤ人の少女が住んでいることが発覚する。 ナチスに絶対的な信仰心を持つ少年がユダヤ人の少女と出会う。 これが物語での重大事件である。 少女の存在が彼自身を変えていくこととなるからだ。 ユダヤ人少女との出会い。 母の死。 ジョジョの心情の変化。 出典: ユダヤ人の少女と出会ってしまったジョジョは彼女に対してあからさまな差別的発言を連発する。 それもこれも仕方ないことだ。 ジョジョはナチスに洗脳され、空想上のヒトラーにも支配されている。 しかしそんなジョジョはナチスを信じてはいるものの純粋な少年であることにかわりない。 感受性が豊かな少年だ。 相手の気持ちを汲み取ることのできる強い少年なのだ。 ユダヤ人の少女と過ごしていくうちに徐々に彼女が普通の人間であることに気付かされ、好意を持つようになる。 また、母の死もジョジョの心情の変化に直結していると言える。 ナチスを信じるもの、それがおかしいと知っているもの。 どちらが正しいか段々と明確になっていくのだ。 出典: それはまさに 「愛」が世界を救う瞬間だ。 ジョジョの少女へと好意、母への愛。 つまり愛自体が全てを変化させるのだ。 これにより、ナチスへの信仰とヒトラーへの忠誠心は少しずつ解かれていく。 決定的だったのは親友のヨーキーからヒトラーが裏で悪いことをしていたことを知らされドイツが敗戦すると知った瞬間。 ついにずっと信じていた崩れかけた信仰心が完全に自分の中で崩れ落ちたのだ。 そして、最終的には自身の空想上の友人で自身を支配しているヒトラーを打ち倒すのである。 ラストのダンス意味とは 本作ではダンスを踊るシーンがいくつか出てくる。 このシーンには明確なメッセージが込められていた。 結論から言うとそれは魂の解放だ。 ジョジョの母ロージーは踊ることは魂の解放を意味すると話していた。 ラストのシーンでジョジョとユダヤ人の少女が踊ったことには意味がある。 ジョジョの場合、ずっと空想上友人ヒトラーに支配されていた。 しかしドイツが敗戦し、ナチスへの忠誠心が崩れ、戦争が否定され、ヒトラーから解放されたのだ。 少女の場合、苦しめられていたユダヤ人迫害から解放されたことを知り心を締め付けていたものから解放されたのだ。 この二つの解放が彼らを踊らせたのだ。 映画『ジョジョ・ラビット』の評価は? 一部の人からは非難されてもおかしくない内容を疑うことなく作りあげるタイカ・ワイティティ監督はやはり、素晴らしい監督だ。 ネガティブな題材をジョークに変え、ユニークに完結させてしまう彼の世界観にどっぷりと浸ってしまう。 人間が生きる上での感情の変化、愛を感じることのできる作品であった。 そのような作品であるからこそ評価もしっかりとついてきている。 まずはトロント国際映画祭で観客賞を受賞していることからだ。 トロント国際映画祭観客賞では、過去にアカデミー賞作品賞を受賞している『英国王のスピーチ』『グリーンブック』が受賞している。 そんなアカデミー賞前哨戦として注目度の高い賞を受賞している『ジョジョ・ラビット』はやはり観る価値のある評価を与えられた作品だ。 また本作は、第92回アカデミー賞では作品賞はじめ、助演女優賞、脚色賞、衣装デザイン賞、編集賞、美術賞の6部門にノミネートされている。 アカデミー賞発表までにぜひ映画館に足を運んでほしい一本だ。

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「週末映画館でこれ観よう!」今週の編集部オススメ映画は『ジョジョ・ラビット』|Real Sound|リアルサウンド 映画部

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CONTENTS• 映画『ジョジョ・ラビット』の作品情報 C 2019 Twentieth Century Fox 【日本公開】 2020年(アメリカ映画) 【原題】 Jojo Rabbit 【監督】 タイカ・ワイティティ 【キャスト】 ローマン・グリフィン・デイビス、トーマサイン・マッケンジー、アドルフ・ヒトラータイカ・ワイティティ、レベル・ウィルソン、スティーブン・マーチャント、アルフィー・アレン、サム・ロックウェル、スカーレット・ヨハンソン 【作品概要】 監督を務め、ヒトラーを演じるのは『マイティ・ソー バトルロイヤル』 2017 のニュージーランド出身の監督、俳優であるタイカ・ワイティティ。 主人公ジョジョの母ロージーを演じるのは『ロスト・イン・トランスレーション』 2003 で英国アカデミー賞とゴールデングローブ賞主演女優賞受賞、「アベンジャーズ」シリーズのブラック・ウィドウ役でおなじみスカーレット・ヨハンソン。 ユダヤ人少女エルザを演じるのは『足跡はかき消して』 2018 でナショナル・ボード・オブ・レビュー賞のブレイクスルー演技賞を受賞した19歳の新星トーマサイン・マッケンジー。 ヒトラーユーゲントの女性教官フロイライン・ラムには『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』 2011 『ピッチ・パーフェクト』 2012 のレベル・ウィルソンです。 本作は第44回トロント国際映画祭で世界初上映され、ピープルズ・チョイス・アワードを受賞しました。 ジョジョの父親は軍で勤務しており、姉は最近インフルエンザで亡くなったため母のロージーと二人暮らし。 そんなジョジョのイマジナリー・フレンドはアドルフ・ヒトラー。 キャンプを仕切るのはいつも酔っ払ってハイテンションのキャプテン・クレンツェンドと部下のフィンケル。 ジョジョとぽっちゃりした彼の親友ヨーキー、他の少年たちはユーゲントのメンバーの証としてナイフをプレゼントされます。 泣きながら逃げ出したジョジョのところにまたヒトラーが現れ元気づけます。 自信を取り戻したジョジョは走って訓練に戻り、キャプテンから手榴弾をとって投げつけました。 しかし自分の足で跳ね返ってしまい、ジョジョは顔に傷を負います。 母のロージーは何とか回復したジョジョをユーゲントに連れて行き、何か彼にもできることはないかとキャプテンに頼みます。 ジョジョはポスターを町中に貼るなど雑用が任せられました。 ジョジョはロージーと帰る途中、街の広場で絞首刑に処されている人々を見つけました。 ロージーが帰ってくるまでの間一人家で留守番していたジョジョは、屋根裏で何やら物音がするのを聞きつけます。 姉の部屋の壁裏の狭いスペースには何と10代の少女が。 ジョジョは最初お化けだと思って逃げ出しますが少女がユダヤ人ということに気がつきます。 ジョジョはゲシュタポに引き渡すと言いますが、少女・エルザはジョジョにこのことを誰かに言ったらロージーも安全じゃいられないと脅し、ジョジョのナイフを奪ってしまいます。 エルザはジョジョの姉の友人だったのです。 ジョジョは母親が愛国心を抱いていないこと、ユダヤ人が匿われていたこと、父がいないこと、自分がユーゲントで活躍できないことに憤りますが、そんな彼にロージーは人生を楽しく生きる彼女の信念を説きます。 相変わらずヒトラーはジョジョの前に現れ、ジョジョに反ユダヤ主義を語ります。 ユダヤ人の生態をエルザから聞き出しているジョジョは、彼女にはネイサンという離れ離れになった婚約者がいることを知ります。 意地悪をしてやろうと目論んだジョジョはネイサンのふりをして「別れたい」という手紙を書き読み聞かせますが、エルザが泣き出してしまったため「この前のは嘘だ」と再び手紙を書きます。 ジョジョが留守番をしている間、ゲシュタポがいきなり訪れ家を捜索し始めました。 エルザを知るジョジョはパニックになりますがエルザは機転を利かせ、彼の姉のふりをします。 ゲシュタポと一緒に訪れたキャプテンは姉の身分証を見、生年月日を言うようにエルザに尋ねますが彼女はなんとか答えました。 しかし彼女はゲシュタポが去った後、誕生日を間違えたことをジョジョに伝えます。 キャプテンは彼女を見逃したのです。 その後、広場に行くと再び数人が絞首刑にされていました。 ぶら下がる中に見覚えのある靴が…それは母ロージーのものでした。 ジョジョはしばらく泣きじゃくりました。 ドイツは負ける道を辿っており、食べるものを探すのもままならない状況。 ジョジョとエルザはゴミ箱からあさって食いつなぎます。 ある日親友のヨーキーと再会したジョジョ。 ヨーキーはじめユーゲントの少年たちももう兵士として戦っていました。 そこに爆撃が始まり、ジョジョもユーゲントのジャケットを羽織って戦おうとしました。 キャプテンもフィンケルも彼らのかつてのイマジナリー・フレンドのおかしな仮装をして戦っています。 しかしアメリカ軍に敵うはずもなくジョジョはキャプテンとともに捕らえられました。 キャプテンはジョジョにロージーは素敵な女性だったと言い、ジョジョのジャケットを脱がせてユダヤ人と呼びわざと突き放します。 その後すぐにキャプテンは銃殺されました。 ヨーキーは無事に生き残っていました。 家に帰ったジョジョですが、エルザと離れたくないジョジョは最初「ドイツが勝った」と嘘をついてしまいます。 しかし再びネイサンに成り代わって手紙を書き、「会える方法が見つかった」と伝えます。 しかしネイサンは既にもう亡くなっていたのです。 元気付けてくれたことに感謝を述べたエルザに、ジョジョは告白しますが、彼女は「弟として愛しているわ」と言います。 そこへ再びヒトラーが現れますがジョジョは蹴り飛ばして追い出しました。 外に出たジョジョとエルザ。 二人はロージーが教えてくれたように、ゆっくりと踊りだすのでした。 映画『ジョジョ・ラビット』の感想と評価 C 2019 Twentieth Century Fox カラフルなブラックジョークの奥にあるもの 子どもを主人公にした第二次世界大戦下ドイツの物語というと、父親がナチス党であり、3歳で成長を止めた少年の数奇な人生『ブリキの太鼓』が挙げられます。 グロテスクなイメージに満ちた『ブリキの太鼓』とは異なり 『ジョジョ・ラビット』は華やかなおとぎ話のような色を持つ作品です。 「ヒトラーがイマジナリー・フレンドで、主人公は愛国者のユーゲントの少年」という非常に 大胆なアイディアを、ワイティティ監督はブラックジョーク満載のコメディとして映画化に成功しました。 「ハイル・ヒトラー」の練習や現代のパリピのようなキャプテンとフィンケル、抜群に チャーミングなスカーレット・ヨハンソン演じるロージーのジョーク。 ジョジョにエルザが「私はユダヤ人よ Jew 」と告げるシーンがあるのですが、それに対してのジョジョの答えは「Gesundheit」。 これはドイツでくしゃみをした後にいう言葉で 英語での「Bless you」に当たる 、アメリカの劇場は大うけしていました。 冒頭、ビートルズの『I want to hold your hands』のバックにはハイル・ヒトラーの敬礼をする人々の実際の映像が流れ、ユーゲントのキャンプはまるでウェス・アンダーソン監督の『ムーンライズ・キングダム』のよう。 ナチスを扱う 戦争映画とは思えないほど街はカラフルでファッションも可愛らしく、甘美でファンタジックな世界が広がります。 10歳の少年ジョジョにとってはヒトラーも戦争もまだ理解はできないもので、キャンプも楽しい行事の一つ。 しかし少年の目から見た楽しげな世界も母 ロージーの死から一転、荒廃した街が映し出され一気に現実の重苦しさがのしかかります。 厳しい現実を子どもの目から描いた作品として『フロリダ・プロジェクト』と映像の類似点が見られます。 本作が焦点を当てるのはナチスやヒトラーの蛮行の批判ではなく、憎悪が生む悲劇と家族の肖像についてです。 ユダヤ人を大量虐殺したナチスの人間が最後主人公のヒーローのように死んでいくのは大胆で興味深いアイディアです。 ジョジョもまた盲目的に政権を信じているだけに過ぎず、それでも彼が愛するもの、信じるものは思わぬ隣人となった少女エルザの民族を迫害している。 『ジョジョ・ラビット』は 民族性で人々を迫害し憎悪を煽り立てるナショナリズムへの批判として完成されています。 ドイツの頂点であり絶対的な存在であったヒトラーをいち少年の架空上の友人であり父親のポジションに置くというのは素晴らしいアイディアです。 基盤となる喜劇王チャップリンの物語 2019年、悲劇を笑いと共に描く映画がもう一作。 トッド・フィリップス監督の『ジョーカー』が大ヒットしています。 『ジョーカー』『ジョジョ・ラビット』 両作の基盤となっているのは喜劇王チャップリンの物語です。 『ジョーカー』劇中で流れるのはチャップリン演じる労働者の男が機械と同然に扱われる物語『モダン・タイムス』 1936。 またチャップリンは彼の人生初めてのトーキー映画『独裁者』 1940 でヒトラーを演じ、ナチス台頭の第二次世界大戦時に彼を強く批判しました。 『ジョーカー』の主人公は笑ってしまう病気を抱えながらコメディアンを目指す男であり、生活保護も打ち切られ貧困にあえぐ状況。 『ジョジョ・ラビット』に通じる映画はもう一つ、ロベルト・ベニーニ監督によるイタリア映画、平和な日常を送っていたユダヤ人家族がホロコーストに連れて行かれる姿を描いた『ライフ・イズ・ビューティフル』 1997 です。 この作品に登場する父親はどんな苦境にあってもユーモアを忘れない存在。 彼の姿は『ジョジョ・ラビット』でスカーレット・ヨハンソン演じるダンスと歌とワインが好きな母ロージーの姿に重なります。 悲惨なことばかりが続く世の中で、ジョジョいわく「馬鹿みたい」と言われても「 人生は美しいもの、楽しむべきもの」とうたう彼らの真の強さが胸を打つのです。 そして平穏とユーモアが溢れる中で 突如として訪れる残酷な現実が一層凄まじい印象を残し、映画表現としても成功しています。 最後、戦争が終わり外に出たジョジョとエルザがダンスをする曲はデヴィッド・ボウイがベルリンの壁崩壊前にドイツで収録を行った『Heroes』 1977。 再び美しく柔らかな色に包まれた街が若い彼らの未来を示す、力強いラストシーンです。

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