あん よ あん よ こっち おいで。 さぁ、あんよ あんよ こっちおいで・・・。【黒バス】

第152話 買いでしょう

あん よ あん よ こっち おいで

「もう学校には慣れたか~?」 先輩がにこっと笑って私に問いかける。 「いえ、まだまだです」 「まあそうだよな、授業が始まってまだ3日しかたってないもんな。 もう少ししたら慣れるよ」 私は、そうですね、と返事をした。 この学院に入学して3日目。 部活の勧誘も今日から本格的に始まり、私も部活の見学に来ていた。 でもどうしてなんだろう。 私は今、体育館のギャラリーで先輩と2人。 部活の見学というやつにも、先輩が1人付きっきりでいるのか。 ここは男子バスケ部でプロデュース科の女子には人気ありそうなのに、今日は見学が私ひとりしかいないし、この学院にもともとあるアイドル科は男子しかいないところだったため、男の先輩しかいない。 もとからコミュ障な私は、言うまでもなく会話が続かない。 私も先輩のとなりに立ち、下の様子をのぞくと、オレンジ髪の先輩がボールをもった先輩に対して、「こっちこっち~!」と叫んでいる。 そのままパスを受け取った先輩は、ゴールまで駆け抜けていく。 しかし、ゴール前で茶髪の先輩に「明星そこまでだ!ゴールはさせんぞ!」とブロックされてしまい、茶髪の先輩はボールを奪って反対側のゴールへと走り出した。 ボールを茶髪の先輩に奪われたオレンジ髪の先輩は、「ち~ちゃん先輩、やったなー!」とすかさず追いかける。 今私とギャラリーにいる先輩はその様子を見て、ははは、と笑っている。 「楽しそうですね」 思い切って先輩に話しかけてみた。 「そうだな」 そう言って私の方に振り向いた先輩の顔が近い。 先輩の顔はとてもカッコよくて、私はどきどきしていると、先輩はそんな気も知らないで話し続ける。 「あいつら、いつもあんな感じなんだよ。 といってもさっきボールを取られた方は俺と同じユニットの同級生で、ボールを取った方は俺らの先輩なんだけどな」 「…同級生かと思いました」 「はは、だよな。 2人ともどことなく似てるし、俺たちの部活はみんな仲良いからな~」 「そうですね、そんな感じがします」 「だから是非俺たちの部活に入ってくれよな!」 先輩はそう言って白い歯を見せながらにかっと笑った。 本当によく笑う先輩だなと思った。 「でも大変だよな。 今年からプロデュース科ができてさ。 だってほら、いくらプロデュース科に他に女子がいるとしても、俺たち男ばっかりだろ?」 「それはまあ…」 私は反応に困ってしまった。 実をいうと、私はプロデュース科に入りたくて入ったのではない。 本当は音楽科の方に行きたかったのだが、落ちてしまい、途方に暮れていたところに学院から「プロデュース科の枠が空いているからそっちに来ないか」と言われ、もともと夢ノ咲に入りたかった私はその誘いを受けた。 私がそのまま黙っていると、先輩が口を開いた。 「確かに最初は大変かもしれないけど、アイドル科のやつらはいいやつばっかりだし、学院の施設とか行事とかも充実してるから、入ったことは後悔しないと思うぜ。 あと、もしなんか困ったことがあったら、俺は一応生徒会に入ってるからいつでも相談しに来てくれよな!」 先輩はそう言うとまたにかっと笑った。 私は先輩の言葉を聞いて思った。 本当?本当に後悔しない?入りたくて入ったわけじゃない私でも楽しめる? 私がそんなことを心の中で先輩に問いている途中に、先輩は下でバスケをしていたオレンジ髪の先輩に、「サリ~、一緒にやろうよ~!」と声をかけられている。 先輩が、「俺今、新入生の相手してるから~!」と下にいる先輩に向かって叫ぶ。 「大丈夫です。 私、そろそろ帰ります」 足元に置いておいたバッグを持ち上げると、先輩が「そうか?」と言った。 「じゃあ俺もお前を見送ったらバスケしますか!」 じゃあ行こうぜ、と言って先輩は私の前を歩く。 ギャラリーから下に行く階段を降りるとすぐに体育館の出口があり、先輩はその前に立って、また来てくれよな、と言った。 私が、はい、と言うと赤紫髪の先輩は他の部員のもとへと歩き出した。 「先輩」 私が呼び止めると、先輩は立ち止まってこっちを振り向いた。 「ん?なんだ?」 「先輩の名前、聞いてもいいですか」 そういえば私の名前は聞かれたが、先輩の名前は聞いていなかった。 普段は先輩の名前なんて聞くタイプじゃないのだが、今回はなぜか聞いておいた方が良い気がした。 でも、理由もなく名前を聞くのは変かなと思ったので、生徒会に相談に行く時先輩の名前が分からないと困るので、と付け足しておいた。 相談に行くつもりはないのだけれど。 「俺は衣更真緒。 2年で、所属ユニットはTrickstarだ!」 じゃあなあんず、と言って先輩は笑顔で手を振って行ってしまった。 名前を言った時の先輩がなんともカッコよくて。 心臓の鼓動は速くなり、思わず手をあてた頬は熱かった。 「衣更…先輩」 本来は、コミュニケーション能力不足を何とかするために入ろうと思った部活。 しかし、この分では違う目的で入ってしまいそうだ。 熱くなった頬を冷ますように、体育館をあとにした後、少し早歩きで校舎を出た。 外からでも賑やかな声が聞こえる体育館を見ながら、私はあの部活に入ろうと決めた。

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さぁ、あんよ あんよ こっちおいで・・・。【黒バス】

あん よ あん よ こっち おいで

「ちょっくらごめんなさいよ」 そう言いながらモコモコさんたちの間を進んでいく。 エルフと並んで有名な種族、ドワーフだ。 ただ、この世界のドワーフは国を造らない種族として有名で、違う種族の間に入って鍛冶仕事を請け負いをしながら生きているそーだ(旅のドワーフ談)。 まあ、国は造らねーが、鍛冶ギルドは組織しており、結構な発言力を持ってるそーな。 ドワーフ族はそれほど珍しい種族でもなけりゃあ、バリアルの街や王都で何度も見ているのでなんの感慨もない。 なんで、いるなと認識しただけでなにも言わずに店へと入った。 「おう、あんちゃん。 繁盛してんな」 なにやらお疲れ気味のあんちゃんに挨拶する。 「繁盛してんなじゃねーよ! 店持ち初心者になに大振りしてんだよ、お前は! どうしていいかわかんねーよっ!」 「普通に商売すればイイだろう。 ここは、売り買いするところなんだからよ」 別にここはなんかの専門店ってわけじゃねー。 「客が金持っててここにある品を買うなら文句は言わねーよ。 だがこいつら、木の実だのなんだかわからん草だの、そんなもの持ってこられても物々交換もできねーよ。 お前の紹介だから無下にもできねーしよ……」 カウンターに置かれた木の実だのなんだかわからん草ってのを見る。 「ほーほーふむふむなるほどなるほど」 さすが獣人(なんのかは知らんがな)。 山の植物に長けていやがるな。 「もし良ければ、オレが買い取ってもイイかい?」 そこで初めてモコモコダンディ(とそのお仲間たち)に目を向けた。 モコモコガールはいねーようだな。 「……買ってもらえるのなら……」 「よし。 こっちからの了承は得た。 で、あんちゃんどうだ? オレが買い取ってイイか?」 親しき仲にも礼儀あり。 客の横取りは不義だからな。 ちゃんと了承は得ねーとな。 「いいよ。 どうせおれには目利きできんし、お前が換金してくれるのならこっちは大助かりだ」 まあ、商人とは言え、山のもんを目利きしろと言うほうが悪い。 こう言うそれぞれの地域で密かになる木の実や山菜とかはその地域でしか消費されない。 まず街には滅多に出回らないものなのだ。 「あんちゃんからも了承は得たってことで、あんたらが持ってきたもんを見せてくれるか?」 そう問うと、モコモコダンディ(とそのお仲間たち)がバシの蔓で編んだ背負い籠を七つ、オレの前へと並べた。 「結構あんだな。 どれどれ。 この木の実が詰まった籠は銀貨六枚。 この山菜が詰まった籠は銀貨二枚。 この茸が詰まった籠は銀貨八枚。 おっ、ベラの実なんてこの辺にあったんだ。 これ金貨一枚な。 サレーにハニラとかスゲーな。 薬草の知識まであんのかよ。 この籠は銀貨二十枚だ。 この籠……と、残りは合わせて銅貨十七枚が精々だな……」 残りの籠のものは食えねーことはねーんだが、飢饉でもなけりゃあ、まず食わねーものばかりだ。 けどまあ、鶏どもにはイイエサになる。 冬のエサとして考えたら損はねーぜ。 ポケットから金を出し、カウンターに置く。 「この値段なら買うぜ。 嫌なら買わねー」 オレは値切り交渉とかメンドクセーって思うタイプなので決裂したらスッパリ諦めることにしている。 そんな目でモコモコダンディを見る。 しばし鋭い眼光でオレを見ていたが、引かぬオレに根負けしたのか、あんちゃんに目を向けた。 「……どうなのだ?」 「言ったようにおれには山のもんはわからんが、たぶん損はしてない……どころか適正な値段より一割か二割は高くなってるはずだ。 これもたぶんになるが、これを街で売ったら銀貨十枚にもならないだろうよ。 それどころか半分以上は売れ残ると思う。 それをべーは全部買い取ってくれるんだ、こんな豪快な買い手は世界を探してもべーだけだろうさ」 まあ、オレには結界術があり、保存庫がある。 ましてやこれだけの量を採るとなると十日は必要となる。 手間を考えたら問答無用で買いでしょう。 「なにより、べーの言った値段であんたら一族が一月分の食料は買える。 住みかを失ったって言ったが、おれに言わせたらべーに出会えたんなら安い犠牲だ。 べーは下手な幸運の女神より幸運を運んできてくれるクソガキだからな」 「褒めんなら最後まで褒めろや。 ヘタレ商人が」 「アハハ。 まあ、この通り口の悪いのが欠点だが、誠意にはそれ以上の誠意を返す男だ。 仲良くなって損なないぜ。 こうして獣人だろうとなんだろうと気軽に利用できる店を紹介してもらってんだからな。 普通の村じゃ入ることもできんよ」 この国にも獣人はいるし、他の国より種族差別も少ねーが、閉鎖的なド田舎にはなかなか入れねーし、入れたとしても入店拒否されるだろうよ。 まあ、街なら通行税さえ払えば入れるが、未開の土地に住む獣人にはレベルが高くていこうとも思わんだろーて。 「……わかった。 それで買い取ってくれ」 「区別すんのメンドクセーから籠ごと買うな。 銅貨七枚でイイだろう」 「あ、ああ。 構わない」 言って結界で包み込み、時間凍結する。 「んじゃな」 結界台車に載せ、家に戻ろうとしたらモコモコダンディ(と仲間たち)が急に両膝を床に付けた。 「お願いします! 我々をお救いくださいませ!」 ……はい?.

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あん よ あん よ こっち おいで

「もう学校には慣れたか~?」 先輩がにこっと笑って私に問いかける。 「いえ、まだまだです」 「まあそうだよな、授業が始まってまだ3日しかたってないもんな。 もう少ししたら慣れるよ」 私は、そうですね、と返事をした。 この学院に入学して3日目。 部活の勧誘も今日から本格的に始まり、私も部活の見学に来ていた。 でもどうしてなんだろう。 私は今、体育館のギャラリーで先輩と2人。 部活の見学というやつにも、先輩が1人付きっきりでいるのか。 ここは男子バスケ部でプロデュース科の女子には人気ありそうなのに、今日は見学が私ひとりしかいないし、この学院にもともとあるアイドル科は男子しかいないところだったため、男の先輩しかいない。 もとからコミュ障な私は、言うまでもなく会話が続かない。 私も先輩のとなりに立ち、下の様子をのぞくと、オレンジ髪の先輩がボールをもった先輩に対して、「こっちこっち~!」と叫んでいる。 そのままパスを受け取った先輩は、ゴールまで駆け抜けていく。 しかし、ゴール前で茶髪の先輩に「明星そこまでだ!ゴールはさせんぞ!」とブロックされてしまい、茶髪の先輩はボールを奪って反対側のゴールへと走り出した。 ボールを茶髪の先輩に奪われたオレンジ髪の先輩は、「ち~ちゃん先輩、やったなー!」とすかさず追いかける。 今私とギャラリーにいる先輩はその様子を見て、ははは、と笑っている。 「楽しそうですね」 思い切って先輩に話しかけてみた。 「そうだな」 そう言って私の方に振り向いた先輩の顔が近い。 先輩の顔はとてもカッコよくて、私はどきどきしていると、先輩はそんな気も知らないで話し続ける。 「あいつら、いつもあんな感じなんだよ。 といってもさっきボールを取られた方は俺と同じユニットの同級生で、ボールを取った方は俺らの先輩なんだけどな」 「…同級生かと思いました」 「はは、だよな。 2人ともどことなく似てるし、俺たちの部活はみんな仲良いからな~」 「そうですね、そんな感じがします」 「だから是非俺たちの部活に入ってくれよな!」 先輩はそう言って白い歯を見せながらにかっと笑った。 本当によく笑う先輩だなと思った。 「でも大変だよな。 今年からプロデュース科ができてさ。 だってほら、いくらプロデュース科に他に女子がいるとしても、俺たち男ばっかりだろ?」 「それはまあ…」 私は反応に困ってしまった。 実をいうと、私はプロデュース科に入りたくて入ったのではない。 本当は音楽科の方に行きたかったのだが、落ちてしまい、途方に暮れていたところに学院から「プロデュース科の枠が空いているからそっちに来ないか」と言われ、もともと夢ノ咲に入りたかった私はその誘いを受けた。 私がそのまま黙っていると、先輩が口を開いた。 「確かに最初は大変かもしれないけど、アイドル科のやつらはいいやつばっかりだし、学院の施設とか行事とかも充実してるから、入ったことは後悔しないと思うぜ。 あと、もしなんか困ったことがあったら、俺は一応生徒会に入ってるからいつでも相談しに来てくれよな!」 先輩はそう言うとまたにかっと笑った。 私は先輩の言葉を聞いて思った。 本当?本当に後悔しない?入りたくて入ったわけじゃない私でも楽しめる? 私がそんなことを心の中で先輩に問いている途中に、先輩は下でバスケをしていたオレンジ髪の先輩に、「サリ~、一緒にやろうよ~!」と声をかけられている。 先輩が、「俺今、新入生の相手してるから~!」と下にいる先輩に向かって叫ぶ。 「大丈夫です。 私、そろそろ帰ります」 足元に置いておいたバッグを持ち上げると、先輩が「そうか?」と言った。 「じゃあ俺もお前を見送ったらバスケしますか!」 じゃあ行こうぜ、と言って先輩は私の前を歩く。 ギャラリーから下に行く階段を降りるとすぐに体育館の出口があり、先輩はその前に立って、また来てくれよな、と言った。 私が、はい、と言うと赤紫髪の先輩は他の部員のもとへと歩き出した。 「先輩」 私が呼び止めると、先輩は立ち止まってこっちを振り向いた。 「ん?なんだ?」 「先輩の名前、聞いてもいいですか」 そういえば私の名前は聞かれたが、先輩の名前は聞いていなかった。 普段は先輩の名前なんて聞くタイプじゃないのだが、今回はなぜか聞いておいた方が良い気がした。 でも、理由もなく名前を聞くのは変かなと思ったので、生徒会に相談に行く時先輩の名前が分からないと困るので、と付け足しておいた。 相談に行くつもりはないのだけれど。 「俺は衣更真緒。 2年で、所属ユニットはTrickstarだ!」 じゃあなあんず、と言って先輩は笑顔で手を振って行ってしまった。 名前を言った時の先輩がなんともカッコよくて。 心臓の鼓動は速くなり、思わず手をあてた頬は熱かった。 「衣更…先輩」 本来は、コミュニケーション能力不足を何とかするために入ろうと思った部活。 しかし、この分では違う目的で入ってしまいそうだ。 熱くなった頬を冷ますように、体育館をあとにした後、少し早歩きで校舎を出た。 外からでも賑やかな声が聞こえる体育館を見ながら、私はあの部活に入ろうと決めた。

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