ファブリ ケーター。 鉄骨工場のグレードとは?1分でわかる意味、SグレードとHグレード

鉄骨工場のグレードとは?1分でわかる意味、SグレードとHグレード

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これを「グレード」といいます。 建物の規模に応じて工場のグレードを選択します。 今回は鉄骨工場のグレードと意味、SグレードとHグレードについて説明します。 建築図面の特記仕様書に、鉄骨工場のグレードなどを書きます。 特記仕様書は下記が参考になります。 鉄骨工場のグレードとは? 鉄骨工場のグレードは、工場の製作能力、設備、技能者や技術者の人数などに応じて定められるランクです。 下記のグレードがあります。 ・Jグレード• ・Rグレード• ・Mグレード• ・Hグレード• ・Sグレード Sが最も高いグレードです。 逆にJは低いグレードで、小規模の鉄骨構造物しか製作できないと考えてよいでしょう。 全国的に最も多いグレードがM、次がR、H、J、Sと続きます。 Sグレードの工場は全国を探しても、数えるほどしかありません。 鉄骨工場のグレードは、現在2機関により評価認定が行われています。 ・鉄骨建設業協会 ・全国鐵構工業協会 各グレードと資格、製作範囲 各グレードと鉄骨構造物の製作範囲について説明します。 前述した通り、グレードに応じて製作可能な規模が変わります。 Jグレード Jグレードは最も低いグレードです。 製作可能な範囲は下記です。 ・400N級炭素鋼で板厚16mm以下の鋼材• ・作業条件は原則下向き溶接 Rグレード Rグレードの製作可能な範囲は下記です。 ・400N級および490N級炭素鋼で板厚32mm以下の鋼材• ・作業条件は原則下向き溶接 Mグレード Mグレードの製作可能な範囲は下記です。 ・鉄骨溶接構造 階高など規模による規定なし(無制限)• ・400N級および490N級炭素鋼で板厚40mm以下の鋼材• ・作業条件は原則下向きおよび横向き溶接 Mグレードになると、製作可能範囲がぐっと増えます。 Rグレードまでは建物規模が限定的でした。 Mグレードでは、規模による規定が無制限です。 また対応可能な厚みも増え、横向き溶接も行えます。 Mグレードの認定を受ければ、小・中規模の鉄骨工事は網羅できるので、全国的にもMグレードが多いです。 私は構造設計をしていて、Mグレード以上にしたことがありません。 Hグレード Hグレードの製作範囲は下記です。 ・鉄骨溶接構造 階高など規模による規定なし(無制限)• ・400N級および490N級、520N級炭素鋼で板厚60mm以下の鋼材• ・作業条件は原則下向きおよび横向き、立向溶接 Sグレード Sグレードは、前述した規定は一切ありません。 規模、材質、作業条件、パス間温度など制限がありません。 要するに「何でもできる工場」です。 Sグレードの認定を受けた工場は全国に十数社ほどです。 その分、認定条件は厳しいです。 まとめ 今回は鉄骨のグレードについて説明しました。 鉄骨構造を設計すると、グレードを指定する必要があります。 普通の建物なら、Mグレードで十分です。 しかし発注条件にRグレードやJグレードの指定ある場合、建物規模から可能な製作範囲か考える必要があるでしょう。

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近年、急速に実用化が進む3Dプリンター。 設計・製造の現場だけでなく、研究・教育機関、歯科などの病院・医療施設、小売店舗などの流通分野、さらに家庭にまでそのフィールドは広がりつつある。 3Dプリンターの可能性にいち早く着目し、多くの活用事例を生み出してきたのが、世界中に広がる「ファブラボ(Fab Lab)」と呼ばれるコミュニティーだ。 その名は「つくること」を意味する「ファブリケーション」と「たのしむこと」を意味する「ファビュラス」に由来する。 3Dプリンターだけでなく、様々な電子部品、はんだごて・ヤスリなどのアナログ工具から各種のデジタル工作機器までを備え、市民に開放された「発明の場」を運営するのがその活動内容だ。 2002年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らがスタートさせ、すでに50カ国、250カ所以上でファブラボが稼動中という。 日本でも2011年、神奈川県鎌倉市と茨城県つくば市に最初のファブラボが誕生して以来その数は増え続け、現在は12カ所に及ぶ。 日本におけるファブラボの発起人であり、ファブ文化の推進役として知られる慶應義塾大学の田中浩也氏に、3Dプリンターの可能性について話を聞いた。 田中 浩也(たなか・ひろや) 慶應義塾大学環境情報学部准教授。 2010年マサチューセッツ大学建築学部客員研究員。 ファブラボの日本における発起人であり、2011年「ファブラボ鎌倉」の設立に尽力。 2012年慶應義塾大学SFC研究所「ソーシャルファブリケーションラボ」代表。 2015年総務省「ファブ社会の基盤設計に関する検討会」座長。 いえ、もともとファブラボは電子部品やはんだごて、オシロスコープ、小型のCNC(コンピューター制御による)切削機などを備えており、電子回路の自由な製作を推進してきました。 3Dプリンターよりも、そちらのほうが先だったのです。 そこに2010年ごろから3Dプリンターが加わったことで、新しい展開が生まれました。 電子工作のカルチャーでは、回路のケースを食品のタッパーなどで代用することも多く、あまり外観にはこだわりません。 しかし3Dプリンターを使って、電子回路を保護する立体のケースがつくられるようになりました。 ただ、それは単にタッパーの代わりになっただけではありません。 タッパーのような四角い箱なら、レーザーカッターでもつくれます。 3Dプリンターは、ウェアラブルデバイスの開発で「身体にどう取り付けるか」を考えなくてはいけないように、電子回路を包み込むものの形状が重要な意味を持つ局面で力を発揮します。 時計であれば時計の外装を、眼鏡であれば眼鏡の外装をつくる必要があります。 その「取り付け方」までを高速にプロトタイピング(試作)できるのが3Dプリンターなのです。 物理的な形状とソフトウエアを分けて開発するのではなく、一体的に開発できるようになります。 少し違います。 「3Dプリンター」という呼び名はイメージが湧きやすく、普及にも大いに貢献していますが、反面「ものづくり」という側面が強調されすぎているきらいもあります。 3Dプリンターは製造業のためだけの装置ではありません。 先ほどお話ししたような、形を持った電子回路がネットワークにつながり、多種多様なサービスを提供する概念が「IoT(インターネット・オブ・シングス)」として最近注目を集めていますよね。 私は、3DプリンターがIoTの実現に大きな役割を果たすと考えているんです。 現在IoTはかなり多義的になっていますが、もとを正せば、1999年にケビン・アシュトン氏が「もの」に「ID」を埋め込んでサプライチェーンを革新しようとした、シンプルなアイデアから始まったものでした。 アシュトン氏はMITのオートIDラボの立ち上げにもかかわった研究者です。 その具体的な実装として、2000年代初頭にはRFID(無線ICタグ)の技術に大きな関心が集まりました。 ですが、当初期待したほどのスピードでは広がってこなかった。 コストなどいくつか課題がありましたが、完成した製品に後からひとつひとつタグを付けていく、その物理的な手間も大きな障壁になっていたのだと思います。 しかし一方で現在、製品に埋め込まれたチップを、一般ユーザーがスマホのNFC(近距離無線通信)で読み取り、様々な情報を得たり、逆にメーカーへ情報を送ったりする、といったサービスが実用段階を迎えつつあります。 これがさらに進み、本格的なIoT社会へシフトしていくためには、生産プロセスの中で「後からタグを付ける」という困難をクリアしなくてはいけません。 そこで私たち慶應大学の研究室では、3Dプリンターで部品を「印刷」する途中に無線ICタグを自動的に埋め込む技術を開発しました。 このRFID埋め込み3Dプリンターを使えば、製造する段階でチップを埋め込むことができます。 そうすれば「もの」として誕生した瞬間からIDを持ち、ネットにつながるんですね。 このようにして物理的な「もの」とデジタルな情報とが融合すると、「もの」をあたかもデジタルデータのファイルのように扱えるようになる。 デジタルデータを作成したり加工したりする「情報処理」を、物理的な世界でも同じように行う「物質処理」が可能になっていくわけです。 3Dプリンターの技術革新は速く、この先1~2年で「IoTファブリケーター(製造装置)」とでも呼ぶべきものへ進化していくことになるでしょう。 それは「ケータイ」から「スマホ」へと呼び方が変わったぐらいの大きな変化です。 そうなれば、3Dプリンターに対する世間の理解や印象もまた変わってくると思います。 つまり、これまでの「ものづくり」の延長では捉えられないものである、という認識が広がるのではないでしょうか。 ただ、ここで注意していただきたいのが、IoTには2つの意味がある、ということです。 ひとつは既存の産業に密着した形のIoTで、いかにして業務をスマートに、効率的に管理するかという「How to make」を重視したIoTです。 これが目指すのはインプルーブメント、つまり既存の社会システムの改善・改良です。 物流管理や、センサーネットワークを使ったインフラ管理、エネルギー消費のモニタリングなどはこのタイプです。 もうひとつは、今まで存在しなかった全く新しい製品を生み出そうとするIoTです。 これは何を作るのか、という「What to make」を重視します。 「電子製品」や「家電」といった既成概念をいったん壊して、あらゆる日用品へとICTを広げていこうと指向するなかで生まれる、新製品の開発です。 その先にあるのは真の意味でのイノベーション。 ハードウエアスタートアップなどのベンチャー企業や個人が活躍する領域です。 小型化、低価格化した3Dプリンターが貢献するべきなのはこちらのタイプのIoTで、従来なかった、新しいカテゴリーの製品を生み出すためのパートナーとして活躍するのではないでしょうか。 ウェアラブル機器などはその一例と言えるかもしれませんが、他にもあらゆる業界が関連すると思います。 こうして新たに作られるIoTの製品においては、ソフトとハードとの垣根がなくなり、ICTとものづくりが完全に一体化するはずです。 IoT時代の製品は、例えて言うなら氷山のようなものです。 目に見えていて、ユーザーが「もの」として触れられる物理的な世界と、水面下にひそむ膨大なソフトウエアやネットワーク、そしてビッグデータの世界。 そのすべてが一体になって「サービス」を提供します。 しかし水面の上にあるか下にあるかの違いだけで、氷山そのものはひとつです。 だから、これまでのようなソフトとハードを分業する体制ではなかなかうまく開発できないのです。 縦割りの組織構造を崩して、ソフトもハードも一体的に開発するプロセスが必要になります。 そこでは3Dプリンターやデジタルファブリケーションが、ICTとものづくりの「接点」となり、人的な交流を促進する役割も果たすでしょうね。 ロボットやドローンといった比較的新しいジャンルの製品を扱うメーカーでは、もう3Dプリンターの普及を前提に戦略を立てているのではないでしょうか。 ロボットならユーザーは自分好みの顔のパーツが欲しいと考えるし、ドローンなら撮影や計測、運搬など用途に合った固有のアタッチメントが必要になります。 そうしたニーズに対し、メーカーが追加の3Dデータを提供し、ユーザーが自分で出力して使う、というスタイルのサービスが生まれてくると思います。 修理や交換パーツの3Dデータ提供なども広がっていくでしょう。 それだけではありません。 ユーザー同士が、自作の3Dデータを公開したり交換したりして、好きなようにカスタマイズするようにもなる。 すでに、ドローンをカスタマイズするパーツの3Dデータを自作してネット上に公開する動きは見られます。 これによって何が起きるか。 従来「もの」の価値というのは、それを手にした瞬間が最も高く、使っていくうちになだらかな曲線を描いて下がっていきました。 物理的に空間を占有しているので、人と「もの」との気持ちのつながりが切れてしまえば、最終的にはゴミになってしまう。 ところが、絶えず新たな部品や拡張機能が実装できる、自分好みにカスタマイズもできる、言い換えればソフトウエアのように「もの」のアップデートが可能になれば、使い続けるうちに価値が下がるどころか、むしろ向上していくことになります。 これは人と「もの」との付き合い方を劇的に変えることになるでしょう。 大事に使う、長く使う、というのとはまた別のアプローチであり、「更新」することで、人と「もの」との途切れない、サスティナブルで発展的な関係を形成できます。 エコロジーでは「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」が言われますが、3Dプリンターは「リファブリケーション」という新たなRを実現するかもしれません。 道具を修理・修繕したり、改造したりして長く使い続けるという発想は日本では昔からありましたが、工業製品やハイテク分野ではそれが難しく、そうした文化が途切れてしまいました。 それを3Dプリンターとインターネットが、また復活させてくれるように思えるのです。 今後、ネット上に3Dデータが大量に流通することは間違いありません。 例えば米国ではスミソニアン博物館が所蔵品の3Dデータを公開していますし、NASAは探査機や小惑星の3Dデータを公開しています。 私も取り組もうとしていますが、Wikipediaにも3Dデータが続々と掲載されてくるでしょう。 生活グッズや文房具などのデータもネット上にたくさん落ちています。 こうしたデータをオフィスでも気軽に3D出力できるようになると、まずは職場のちょっとした労働環境を改善する、といったような使い方も生まれてくると思います。 学校や病院などでもこの取り組みは有効でしょう。 この流れを支援しようと、いま、私たちの研究室では3Dデータの検索サイトを開発しています。 イノベーションというのは、最初から完璧な状態で世の中に送り出そう、という発想とは対極にあります。 とりあえず出してみて、みんなで試して、そして育てる。 そういうマインドセットが不可欠です。 3Dプリンターの性能も、現時点ではまだ限られています。 ですが精度や完成度にこだわるあまり、実際に何かをするのをためらっていたら、イノベーションは生まれません。 今の3Dプリンターは、パソコンの歴史で言えばようやく家庭に入り込み始めた80年代初期ぐらいのもの。 そこから今日の性能まで、どのぐらいの時間で到達したか考えてみてください。 しかも、デジタル技術の開発速度は日々向上している。 何かを「つくる」ことに携わる、あらゆる職種の人たちが3Dプリンターを日常的に使う時代が来るのは、そう遠い先の話とは思えません。 そして何よりも現在はインターネットがあります。 文章、写真、音楽、映像のような「メディア」としての「3D=もの」がますます浸透していくでしょう。 これは、従来の「ものづくり」の延長ではなく、むしろICTの新しい展開として捉えるべき現象なのです。

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近年、急速に実用化が進む3Dプリンター。 設計・製造の現場だけでなく、研究・教育機関、歯科などの病院・医療施設、小売店舗などの流通分野、さらに家庭にまでそのフィールドは広がりつつある。 3Dプリンターの可能性にいち早く着目し、多くの活用事例を生み出してきたのが、世界中に広がる「ファブラボ(Fab Lab)」と呼ばれるコミュニティーだ。 その名は「つくること」を意味する「ファブリケーション」と「たのしむこと」を意味する「ファビュラス」に由来する。 3Dプリンターだけでなく、様々な電子部品、はんだごて・ヤスリなどのアナログ工具から各種のデジタル工作機器までを備え、市民に開放された「発明の場」を運営するのがその活動内容だ。 2002年にマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らがスタートさせ、すでに50カ国、250カ所以上でファブラボが稼動中という。 日本でも2011年、神奈川県鎌倉市と茨城県つくば市に最初のファブラボが誕生して以来その数は増え続け、現在は12カ所に及ぶ。 日本におけるファブラボの発起人であり、ファブ文化の推進役として知られる慶應義塾大学の田中浩也氏に、3Dプリンターの可能性について話を聞いた。 田中 浩也(たなか・ひろや) 慶應義塾大学環境情報学部准教授。 2010年マサチューセッツ大学建築学部客員研究員。 ファブラボの日本における発起人であり、2011年「ファブラボ鎌倉」の設立に尽力。 2012年慶應義塾大学SFC研究所「ソーシャルファブリケーションラボ」代表。 2015年総務省「ファブ社会の基盤設計に関する検討会」座長。 いえ、もともとファブラボは電子部品やはんだごて、オシロスコープ、小型のCNC(コンピューター制御による)切削機などを備えており、電子回路の自由な製作を推進してきました。 3Dプリンターよりも、そちらのほうが先だったのです。 そこに2010年ごろから3Dプリンターが加わったことで、新しい展開が生まれました。 電子工作のカルチャーでは、回路のケースを食品のタッパーなどで代用することも多く、あまり外観にはこだわりません。 しかし3Dプリンターを使って、電子回路を保護する立体のケースがつくられるようになりました。 ただ、それは単にタッパーの代わりになっただけではありません。 タッパーのような四角い箱なら、レーザーカッターでもつくれます。 3Dプリンターは、ウェアラブルデバイスの開発で「身体にどう取り付けるか」を考えなくてはいけないように、電子回路を包み込むものの形状が重要な意味を持つ局面で力を発揮します。 時計であれば時計の外装を、眼鏡であれば眼鏡の外装をつくる必要があります。 その「取り付け方」までを高速にプロトタイピング(試作)できるのが3Dプリンターなのです。 物理的な形状とソフトウエアを分けて開発するのではなく、一体的に開発できるようになります。 少し違います。 「3Dプリンター」という呼び名はイメージが湧きやすく、普及にも大いに貢献していますが、反面「ものづくり」という側面が強調されすぎているきらいもあります。 3Dプリンターは製造業のためだけの装置ではありません。 先ほどお話ししたような、形を持った電子回路がネットワークにつながり、多種多様なサービスを提供する概念が「IoT(インターネット・オブ・シングス)」として最近注目を集めていますよね。 私は、3DプリンターがIoTの実現に大きな役割を果たすと考えているんです。 現在IoTはかなり多義的になっていますが、もとを正せば、1999年にケビン・アシュトン氏が「もの」に「ID」を埋め込んでサプライチェーンを革新しようとした、シンプルなアイデアから始まったものでした。 アシュトン氏はMITのオートIDラボの立ち上げにもかかわった研究者です。 その具体的な実装として、2000年代初頭にはRFID(無線ICタグ)の技術に大きな関心が集まりました。 ですが、当初期待したほどのスピードでは広がってこなかった。 コストなどいくつか課題がありましたが、完成した製品に後からひとつひとつタグを付けていく、その物理的な手間も大きな障壁になっていたのだと思います。 しかし一方で現在、製品に埋め込まれたチップを、一般ユーザーがスマホのNFC(近距離無線通信)で読み取り、様々な情報を得たり、逆にメーカーへ情報を送ったりする、といったサービスが実用段階を迎えつつあります。 これがさらに進み、本格的なIoT社会へシフトしていくためには、生産プロセスの中で「後からタグを付ける」という困難をクリアしなくてはいけません。 そこで私たち慶應大学の研究室では、3Dプリンターで部品を「印刷」する途中に無線ICタグを自動的に埋め込む技術を開発しました。 このRFID埋め込み3Dプリンターを使えば、製造する段階でチップを埋め込むことができます。 そうすれば「もの」として誕生した瞬間からIDを持ち、ネットにつながるんですね。 このようにして物理的な「もの」とデジタルな情報とが融合すると、「もの」をあたかもデジタルデータのファイルのように扱えるようになる。 デジタルデータを作成したり加工したりする「情報処理」を、物理的な世界でも同じように行う「物質処理」が可能になっていくわけです。 3Dプリンターの技術革新は速く、この先1~2年で「IoTファブリケーター(製造装置)」とでも呼ぶべきものへ進化していくことになるでしょう。 それは「ケータイ」から「スマホ」へと呼び方が変わったぐらいの大きな変化です。 そうなれば、3Dプリンターに対する世間の理解や印象もまた変わってくると思います。 つまり、これまでの「ものづくり」の延長では捉えられないものである、という認識が広がるのではないでしょうか。 ただ、ここで注意していただきたいのが、IoTには2つの意味がある、ということです。 ひとつは既存の産業に密着した形のIoTで、いかにして業務をスマートに、効率的に管理するかという「How to make」を重視したIoTです。 これが目指すのはインプルーブメント、つまり既存の社会システムの改善・改良です。 物流管理や、センサーネットワークを使ったインフラ管理、エネルギー消費のモニタリングなどはこのタイプです。 もうひとつは、今まで存在しなかった全く新しい製品を生み出そうとするIoTです。 これは何を作るのか、という「What to make」を重視します。 「電子製品」や「家電」といった既成概念をいったん壊して、あらゆる日用品へとICTを広げていこうと指向するなかで生まれる、新製品の開発です。 その先にあるのは真の意味でのイノベーション。 ハードウエアスタートアップなどのベンチャー企業や個人が活躍する領域です。 小型化、低価格化した3Dプリンターが貢献するべきなのはこちらのタイプのIoTで、従来なかった、新しいカテゴリーの製品を生み出すためのパートナーとして活躍するのではないでしょうか。 ウェアラブル機器などはその一例と言えるかもしれませんが、他にもあらゆる業界が関連すると思います。 こうして新たに作られるIoTの製品においては、ソフトとハードとの垣根がなくなり、ICTとものづくりが完全に一体化するはずです。 IoT時代の製品は、例えて言うなら氷山のようなものです。 目に見えていて、ユーザーが「もの」として触れられる物理的な世界と、水面下にひそむ膨大なソフトウエアやネットワーク、そしてビッグデータの世界。 そのすべてが一体になって「サービス」を提供します。 しかし水面の上にあるか下にあるかの違いだけで、氷山そのものはひとつです。 だから、これまでのようなソフトとハードを分業する体制ではなかなかうまく開発できないのです。 縦割りの組織構造を崩して、ソフトもハードも一体的に開発するプロセスが必要になります。 そこでは3Dプリンターやデジタルファブリケーションが、ICTとものづくりの「接点」となり、人的な交流を促進する役割も果たすでしょうね。 ロボットやドローンといった比較的新しいジャンルの製品を扱うメーカーでは、もう3Dプリンターの普及を前提に戦略を立てているのではないでしょうか。 ロボットならユーザーは自分好みの顔のパーツが欲しいと考えるし、ドローンなら撮影や計測、運搬など用途に合った固有のアタッチメントが必要になります。 そうしたニーズに対し、メーカーが追加の3Dデータを提供し、ユーザーが自分で出力して使う、というスタイルのサービスが生まれてくると思います。 修理や交換パーツの3Dデータ提供なども広がっていくでしょう。 それだけではありません。 ユーザー同士が、自作の3Dデータを公開したり交換したりして、好きなようにカスタマイズするようにもなる。 すでに、ドローンをカスタマイズするパーツの3Dデータを自作してネット上に公開する動きは見られます。 これによって何が起きるか。 従来「もの」の価値というのは、それを手にした瞬間が最も高く、使っていくうちになだらかな曲線を描いて下がっていきました。 物理的に空間を占有しているので、人と「もの」との気持ちのつながりが切れてしまえば、最終的にはゴミになってしまう。 ところが、絶えず新たな部品や拡張機能が実装できる、自分好みにカスタマイズもできる、言い換えればソフトウエアのように「もの」のアップデートが可能になれば、使い続けるうちに価値が下がるどころか、むしろ向上していくことになります。 これは人と「もの」との付き合い方を劇的に変えることになるでしょう。 大事に使う、長く使う、というのとはまた別のアプローチであり、「更新」することで、人と「もの」との途切れない、サスティナブルで発展的な関係を形成できます。 エコロジーでは「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」が言われますが、3Dプリンターは「リファブリケーション」という新たなRを実現するかもしれません。 道具を修理・修繕したり、改造したりして長く使い続けるという発想は日本では昔からありましたが、工業製品やハイテク分野ではそれが難しく、そうした文化が途切れてしまいました。 それを3Dプリンターとインターネットが、また復活させてくれるように思えるのです。 今後、ネット上に3Dデータが大量に流通することは間違いありません。 例えば米国ではスミソニアン博物館が所蔵品の3Dデータを公開していますし、NASAは探査機や小惑星の3Dデータを公開しています。 私も取り組もうとしていますが、Wikipediaにも3Dデータが続々と掲載されてくるでしょう。 生活グッズや文房具などのデータもネット上にたくさん落ちています。 こうしたデータをオフィスでも気軽に3D出力できるようになると、まずは職場のちょっとした労働環境を改善する、といったような使い方も生まれてくると思います。 学校や病院などでもこの取り組みは有効でしょう。 この流れを支援しようと、いま、私たちの研究室では3Dデータの検索サイトを開発しています。 イノベーションというのは、最初から完璧な状態で世の中に送り出そう、という発想とは対極にあります。 とりあえず出してみて、みんなで試して、そして育てる。 そういうマインドセットが不可欠です。 3Dプリンターの性能も、現時点ではまだ限られています。 ですが精度や完成度にこだわるあまり、実際に何かをするのをためらっていたら、イノベーションは生まれません。 今の3Dプリンターは、パソコンの歴史で言えばようやく家庭に入り込み始めた80年代初期ぐらいのもの。 そこから今日の性能まで、どのぐらいの時間で到達したか考えてみてください。 しかも、デジタル技術の開発速度は日々向上している。 何かを「つくる」ことに携わる、あらゆる職種の人たちが3Dプリンターを日常的に使う時代が来るのは、そう遠い先の話とは思えません。 そして何よりも現在はインターネットがあります。 文章、写真、音楽、映像のような「メディア」としての「3D=もの」がますます浸透していくでしょう。 これは、従来の「ものづくり」の延長ではなく、むしろICTの新しい展開として捉えるべき現象なのです。

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