白猫みゃあこ。 【自己紹介】はじめまして、しろねこみゃあこと申します。猫耳好き?

#3 おじいちゃん(本霊様)と猫

白猫みゃあこ

今日も今日とてここは平和である。 ただし何もない。 真っ白だ。 これは異常な空間のはずである。 「おい、じいさん」 「ん、なんだ?」 「この空間をなんとかする気は無いのか?いい加減なんにも無いと頭がおかしくなりそうなんだが」 「ふむ、そうなのか。 俺はそう感じたことはないのだが…まあ主がそう言うなら変えるとするか」 ここは三日月宗近 本霊様 の神域の中である。 そして俺は訳あって迷い込んだ挙句この付喪神様の主となった、ただの人間だ。 ちょっと浄化が得意でこの三日月と相性が良かっただけの人間、である。 この空間は初めて俺がやってきた時から何もない。 あの時は死んであの世にでも行ってしまったのかと思ったくらいだ。 お役人さんと三日月本人から聞いた話だと数十年このままだという。 たまにくるお役人さんですら心配になるのだから俺の感覚は間違っていない。 おかしいのは三日月なのだ。 これが生き物と物との違いなのか、それとも人の子と付喪神の違いなのか。 「それで、どのようにするのだ?」 「どのようにって言われてもだな…」 「主が望む空間ならどうとでもなるぞ」 「…は?どういうこと?」 「ある意味では幻想かもしれん。 主が居たいと思う場所を俺がこの空間で再現するのだ」 本霊様とはそんなことまでできるのか。 三日月の思考が斜め上すぎて俺の頭がついてこない。 しかしこの何もない空間はあくまで三日月の神域だから、もはや何でもあり、なのかもしれない。 そういうものなのだ、自分にそう言い聞かせて無理やり納得することにした。 そうだ、俺がこんなところに来てること自体おかしいことなのだから今更こんなところで思考停止しても仕方がない。 受け入れよう、これはそういうものなのだから。 「………へえ〜すごいんだな〜三日月は」 「これくらい本霊であれば普通のことよ」 「…どういうことなんだよ」 「ははは、まあそういうことだ」 「…ハイハイソウデスネー」 自分が居たいと思う場所、そんなもの家族のいるあの家だがそれを再現されても虚しいだけだからそれは嫌だ。 なら… 「普通の審神者は本丸ってところで暮らしてんだろ?なんかもう、それが一番無難な気がする。 一度資料で見ただけなんだがそれでも大丈夫か?」 「ああ、それなら大丈夫だ。 其処は見たことも行ったこともあるからな。 すぐに済む」 「へえ、なんか意外だな。 じいさんずっとここに引きこもってるイメージあったんだが」 「むぅ…まあ否定はしないが、それはここ最近の話だ。 以前はよく外へいっていたぞ」 若干ドヤ顔で言うが、そのここ最近とはどれくらい最近なのか…神様の最近なんて信用ならない。 どれくらい前なのか聞いてみたら案の定ぶっ飛んだ答えが返ってきた。 「外へ出る機会がなくなったのは50年ほど前からだな。 そう前の話ではないだろう?」 「はははははは何それ。 俺、生まれてないからな」 50年って半世紀だろう。 100年生きれば大往生の人間にとってはけっこう前だ。 そんな長い間独りだったなんて想像もできない。 三日月にとっては短い時間なのかもしれないが。 「まあどこぞの鳥ではないが細かいことは気にするでない」 「…鳥?」 意味のわからないことを言うと三日月はおもむろに立ち上がり、俺に目を閉じるよう言った。 言われた通りに目を閉じ、しばらくすると俺の頭に手を置き三日月は何かつぶやき始めた。 「…こんなものか」 パァン 手を叩く音がする。 と、その瞬間自分の周りを風が吹き抜ける感じがした。 先ほどまで気味が悪いほど自然のものを何も感じなかったというのに鳥のさえずり、木々の揺れる音、池の水の音、暖かい陽射しを感じる。 「もう目を開けて良いぞ」 その言葉に従ってまぶたを開ける。 「…薄々感じてたんだ。 もう驚かないぞ…」 「さて、どうだ。 主の思う本丸とはこのようなものでよいか?」 「うん。 もう俺の想像、というか資料で見た初期本丸そのもの。 暮らせればなんでもいいや」 「はっはっは!そうかそうか」 目を開けた先に広がる景色は新人審神者に与えられる本丸そのもの。 少し違うのは鳥やら鯉やらがすでにいるところか。 梅の花が咲いているから春の始まり、そんなところだろう。 数分前とは打って変わった空間にもはや何の驚きも感じない。 本霊さまの力とはそういうものだ、俺はすでに悟っていた。 「これで少しは安心して過ごせるだろうか」 「ああ。 ありがとな」 「よいよい。 主を助けるのが我ら刀剣男士だからな」 ここに迷い込んで来た時から非科学的で意味不明なことが続きすぎて、これは現実なんかじゃなくてもはや夢なのではないかと思う時もある。 けれどこの際これが夢だろうが現実だろうが関係ない。 俺のやるべきことは決まっている。 歴史修正主義者との戦いが終わるまで本霊三日月宗近の主として彼の務めを支え続け、そして最終的には家族の元へ帰るのだ。 [newpage] 「………………………」 「………………………」 本丸がどうなっているのか確認するためぐるりと中を見てきた後、一番大きい居間みたいな部屋に戻ってくると白猫と三日月が睨み合っていた。 「何やってんの…」 「………」 無視された。 いや、聞こえていないのだけらしい…だが一体何をそんなに集中しているのか。 ついでに言うならなぜかものすごい緊張感が走っている。 猫の方を見てみるとだんだん瞳孔が開いて大きくなっていく。 さらに尻尾がゆらゆら大きく揺れて今にも飛び出しそうな体勢だ。 そして、 ダダッ! 猫が三日月に向かって駆け出した…と思ったら手元を追いかけているようでよく見たら外に生えていた猫じゃらしの草を持っていた。 そういうことだったのか。 「ほっ」 三日月は猫が追いつきそうで追いつけない絶妙なタイミングでじゃらしている。 このじいさんなかなかやるな…じゃなくて、そこまで張り詰めた空気感出さなくてもいいのではないか。 一瞬この猫が何かしでかしたのかと思ってしまった。 「あなや、取られてしまったか。 お前の勝ちだな。 うんうん、元気なのは良いことだ」 しばらくはうまくじゃらしていたが最後には猫じゃらしを取られてしまった。 1人で猫じゃらしにじゃれついている猫を見ながら笑顔でそう話しかけている三日月は俺が戻ってきたことに全く気付いていない。 おそらく10分程は猫と遊ぶのに夢中で気付いていないだろう。 お前さんそれでも刀剣の付喪神なのか…。 「猫と遊ぶの随分とうまいなぁ」 「おお、戻ってきたか。 どうだった?」 「2人で睨み合ってるところから戻ってたんだけどな。 そうだな、2人…いや、3人じゃちょっとばかし広い気はしないでもないが、まあ良いんじゃないか。 割と気に入った」 「そうか、それはよかった。 」 部屋の真ん中に置いてあるちゃぶ台にどこから出したのか分からないがお茶が入った急須、それに湯飲みが出してあったので、取り敢えず座ってお茶を入れる。 今更怪しいだなんて思っても仕方ないし喉が渇いたから遠慮なく入れることにした。 すると遊び疲れたのか猫が俺の膝の上に乗ってきて、そろそろと丸くなった。 「疲れたのか。 はは、これはまるで鞠だな」 「でかい団子みたい」 「主は食い意地が張っているな」 「うるせえ」 「はは、そう拗ねるでない…しかしこやつ、此処にいる分にはこのままで何の問題もないが、外に出てしまった時にどうなるか…純粋で真白だからなあ」 この神域は現世と隔離された空間だ。 何か用がない限りは外部からの一切を遮断している。 もちろん穢れなんて入り込める余地はない。 三日月は付喪神の本霊でちょっとの穢れなどものともしないし、俺は浄化に特化した能力を持つ審神者だ。 此処にいようが外の世界に出ようがなんのもんだいもない。 けれどこの猫は死んでしまった子猫の魂だ。 神聖なこの空間に呼ばれたおかげで純粋で真っ白な魂を維持し続けて、未だあの世に還らずここにいる、ある意味珍しくて揺らぎやすい存在だ。 良くも悪くも染まりやすい。 確かにここにいる分には問題ない。 ただし、子猫というのは好奇心旺盛だ。 いつ誰かに付いて外に出てしまうか分からない。 外に出て穢れに当てられでもしたら一瞬で悪霊に成り果てるだろう。 そうなった時に俺はこの仔を迷いなく浄化できるのだろうか。 今ならまだできる、と思う。 けれどこの先ずっと共に暮らしていった時、家族と思える時が来たときに果たしてそんな大切な存在を己の手で消すことができるのだろうか。 …多分無理だ。 ならそうなる前に還してあげるべきなのではないか。 「この仔を、この魂を還してあげるべきじゃないのか」 「まあ、そうだな。 本来ならこのままあの世に還してやるべきなのだが…こやつ、俺の神気を取り込み過ぎたようでな、魂が少しばかり変質している。 もはや還す事は出来ない。 ただの猫には戻れないのだ…すまん。 」 「あんたが謝ることじゃないだろう。 確かに連れて来たのは三日月だが、あのままだと悪いなんかになって誰かを襲ってたかもしれないんだろ。 間違ったことはしてないと思うけどな」 「そう、だと良いがな」 三日月は力なく笑う。 この神様は妙なところで自信がない。 本当に神様かって思う時がたまにある。 これまでのことを考えると仕方がないのかもしれないが、そういうところは神様というよりとても人間くさい。 道具とも違うところがある。 難しいものだ。 「ま、そういうことにしておいて。 …じゃあどうすればいいわけ?」 「主がこやつに名を与えてやれば良い」 「なまえ?俺が、こいつに?」 「そうだ。 こやつはまだ自分という存在が曖昧だ。 自身が肉体を持って生きているのか、死んで魂だけの存在であるのか、そのことすら理解していないだろう。 そして名はその存在そのものを表すもの。 名を与えるということは、そやつ自身を与えるということなのだ」 「俺がこの仔の存在を与える…うええ…なんか責任重大じゃねえかよ。 三日月がやったらダメなわけ?」 別に嫌なわけではないが、子猫のこの先を決める重要なことなのだからただの人間の俺が何も考えずに名前をつけていいはずがない。 それだったら三日月にやってもらうほうがいいと思ったのだが… 「主がやったほうが色々お得だぞ?名を与えたものと与えられたものとの間で主従関係ができるのだ。 何かあった時に主を守れる存在になり得るのだからな」 「お得って…いやいや、いいってそんなの。 ていうか猫って本来なら主従関係なんてないだろ、犬じゃないんだから。 そんな、猫って存在そのものを捻じ曲げるようなことする必要ないだろう…」 「だからただの猫には戻れんと言ったではないか。 彼女とて本当に嫌なら名を与えられるとこを拒むさ。 そうなった時には俺が何とかするさ」 暫くの間、というよりいつの間にか無言でお互いを睨み合っていた。 ここまで来たら意地の張り合いである。 俺にそんな気はなかったが三日月の目つきがとんでもなく悪かったからおそらく俺も大層な顔つきになっていたのだろう。 「………………わかった。 ああもう分かったから睨まないでください!…何でもいいんだよな?」 「ああ、団子でも饅頭でも白玉でも何でも良いぞ」 「お前が俺のことをただの食いしん坊だと思っているのは分かった」 笑顔でそんなことを言うものだから、入れたて熱々のお茶をその顔面に投げつけたくなったが、生憎話し込んでいる間にいい具合に冷めていたためやめた。 お茶も勿体無い。 取り敢えずその程よく冷めたお茶を飲む。 そこのじじいにはやらん。 「そう難しく考える必要はないさ。 飼い猫に名付けるように気楽にすればよい」 「気楽に…」 ふと視線を膝の上の猫から庭に移すと梅の木が目にはいった。 なぜだかその小ぶりな木から視線を逸らすことができずに見入っていた。 「こいつ女の子だっけ」 「ああ、紅一点だな」 「じゃあ…小梅ちゃんでいいか?」 人の言葉は伝わらないだろう、そう思っていてもつい膝の上の生き物に話しかけずにはいられなかった。 すると不意に猫は顔を上げて俺の目を見つめて、俺を品定めするかのような視線を送ってきた。 居心地は悪いがここで視線を逸らしてはいけないような気がした。 しばらく見つめ合いが続いた。 そして白猫がみゃあ、とひと鳴きしてまた顔を埋めて鞠のように丸くなった。 …どうやら認めてくれたらしい。 一安心だ。 「うむ、気に入ったようだな」 「気に入ったのかは知らんけど、これでいいみたいだな」 「よきかなよきかな」 これでまた正式に不思議で小さな同居人が増えた。 さて、この先どうなるのか、皆目見当がつかない。 よい方向に転ぶことを祈るばかりだ。 [newpage] 小梅に名前をつけてーーここの空間に色がついて一週間ほどがたったようだ。 ここにいると時間の感覚がなくなるから定期的に訪れてくる役人さんは現世での時の経過を教えてくれる大事な人達だ。 今日も経過観察という名のお茶会が開かれている。 何気に楽しみにしているのだ。 なんせたまにだが、女の人がやってくる。 ここにはむさ苦しいというほど人はいないが、男2人とメス猫1匹では華がない。 圧倒的に目の保養が足りないのだ。 これは不倫などではない。 断じてちがうぞ。 「…えっと…お茶、大丈夫ですよ?すぐにお暇しますし」 「まあそうなんですけど、俺にとっては数少ないから人間同士で話ができる機会だから…これくらいはしたいんで」 「あ…そうでした。 こちらが無理にお願いした側だというのに、配慮が足りませんでしたね…」 「そんなに気にしなくても良いんです。 少しはこちらのことも伝えておこうと思っただけですからね。 まあこの話はこれくらいにしておいて、今日はどんな用事ですかね?」 俺は言いたいことを言って本題に入った。 その中身は2つ。 まず1つめはすでに終わったことらしいが、その報告をまだ受けていないため早くしろと上からの催促だという。 「京都市中、三条大橋、池田屋の報告が未だにないということなので早急に上げていただきたいとの事です。 私はまだここに勤め始めて日が経っていないのでまだ詳しくは聞いていないのですが…さすがに10年経っても報告がないのはいかがなものかと…」 「おいじじい早くしろ。 人の10年はお前が思ってるより相当長いぞ」 「ん?そうだったか。 それはすまんなあ」 「ほけほけ笑ってんじゃない!それ、今すぐできるの?できないの?」 「あるぞ。 いつだか忘れたが少し前に仕上げたはずだからな」 このじいさんのマイペースさには慣れたと思ったんだが、まだまだだったらしい。 もう頭を抱えてしまうほどである。 こればかりは政府も苦労していることだろう。 心の中でほんの少し謝った。 俺悪くないけど。 「あんのかよ!?なら早く出しなよ…」 「それが出し方がいまいちよくわからんのでな」 「わかんないの??聞けば良いじゃん」 そう言ったら困った顔をして三日月は答えた。 「初めは端末とやらを渡されてそこに書かれている事項に沿って報告して欲しいと言われたのだが、その板の使い方がさっぱりだったものでな、分からんから紙でも良いかと次に来た人間に聞いたのだ。 その時の人間はそれで良いというからちゃんと書いたぞ。 まあその次の人間に渡す時になってどこにやったか忘れてしまったのだが」 「んんん最後…ほんとにマイペースだなおじいさんよ…」 呆れるしかないのだが、それはこの刀剣にだけではなく人間にも当てはまる。 なぜあからさまに機械に弱そうなこのじいさんに端末を渡すのか。 今まで見てきた政府の行動から本当に自分たちの都合で動いてるんだ、そう思えて仕方がない。 「えっと…記録だと確かにそうなっていますね。 3人目も報告は受け取れず…あれ?その後誰も三日月様の神域にお邪魔していませんね。 どうして…」 「…はい?なんで?」 「え、えっと…報告書にはそこまでは…」 「おかしくないですかねえ。 そちらの都合で振り回しておいて勝手に音信不通ですか。 良いご身分なことで」 「……」 自分でもよくわからないけれど、彼女のどこかに自分の地雷があったらしい。 俺が攻め立てる体制に入ったのを察した三日月が、話に割り込んできた。 「…まあ、確かに来月までに見つけて欲しいと言われたきり誰もこなかったな。 しかしな、今となれば仕方がなかったとしか言いようがないのだ。 あちらも色々ややこしい事情あったのだよ。 だから主、そう睨むでない。 この者は何もしていないだろう」 「…え、別に睨んでないし」 そうは言ったが無意識ではない。 都合があろうが何だろうが協力してもらっている付喪神に対する対応ではない。 少しばかり傲慢ではないか、そう思っていたのが顔に出ていたのだろう。 目の前のお姉さんは縮こまってしまっている。 「親の仇でもみるかのような目つき、おおこわい」 そう言いながら三日月は俺の顔を摘んで伸ばしている。 痛くないから手加減してくれてはいる。 「やーめーろーーー」 「はっはっは、よく伸びるなあ」 三日月は一向に止める気配がない。 こちらが根負けした。 「分かった!俺が悪かったって!」 「む?…そうか、分かってくれたか」 ほっとしたように笑ってようやく頰から手を離してくれた。 赤くなってないよな…あとで鏡見よう。 「さて、俺はその紙でも探すとするか。 主はお客人からもう1つの話でも聞いていてくれ」 「あ、そいえば」 「す、すみません…忘れてました…」 「よいよい、ではしばし失礼する」 よっこいせ、そう言いながら立ち上がり三日月は居間を出た。 何十年も何もない空間に、ようやっと家と呼べるものができたのはごくごく最近の話だ。 それ以前の物が一体どこにしまってあるというんだ。 …そうだ、本霊様には常識など通用しないのだから考えても無駄なのだ。 そうして俺は考えるのをやめた。 ついでに頭も冷えてきたから三日月には感謝するしかない。 「すみません。 八つ当たりみたいなことしてしまって…」 「い、いえ…私も勉強不足、というか調べが足りませんでした。 申し訳ありません」 「…まあ、お互い様ということにしますか。 それで、もう1つの話ってのは?」 「あ、は、はい。 」 もう1つは三日月に会いたい付喪神様がいるのだとか。 もちろん本霊様である。 「えっと、それ本霊様が直接言いにこればいいのでは…」 「私もそう思って上司に話したのですが…本霊様たちにも事情があるのだからそれ以上話を掘り下げないで欲しいと、とても渋い顔をして言われてしまいまして…」 「うーん…何かありそう。 まあそれは後でいいか、分かりました。 三日月には伝えておきます」 「よろしくお願いします」 「あ、会いたい本霊様って誰ですか?」 「そ、そうでした…1番重要なことでしたね。 えっと、鳴狐様ですね」 「なきぎつね、さま」 「ご存知ないですよね。 三日月様に聞くのが1番いいと思うのですが、一応こちらでも資料をお渡ししますのでよろしければ」 そう言われて1枚の紙をもらう。 人間側から見た付喪神様の情報と言うのも大事なものだ。 資料を見ようとしたところでお姉さんがハッと腕につけている飾り?を見た。 ひ、光っているぞ… 「あ、そろそろお暇させていただきます。 これ以上はお守りが限界のようです」 「ああ、なるほど。 なんか大変ですね…お疲れ様です」 「いえいえ。 次はひと月後にお邪魔します。 申し訳ないのですが三日月様の報告はその時の担当にお願いします。 では、失礼します」 「はい。 ありがとうございました」 お姉さんはパッパッと身支度を整えたかと思うとすごい勢いで帰って行った。 普通の人人間が本霊様の神域に居続けるとただじゃ済まないらしい。 なかなかに大変な仕事だ。 …ところであのおじいさんはいつになったら戻ってくるのだろうか。 迷子になっていなければいいのだが…。

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[chapter:わーにん!わーにん!] これは『誠凛チートホラーシリーズ』の番外編だよ! タグやコメントの感想に釣られやすいお調子者が書いてるよ! でも、あまりにネタバレが過ぎるタグや感想みたいなタグはさとうさんが困るよ! 黒子のバスケは単行本のみの知識だよ! アニメは見たことないよ! 文才はもとから持ってないよ! キャラが崩壊してるよ! 口調も方言もよくわかってないよ! 誠凛厨が書く誠凛チート設定だよ! かがみん厨が書くかがみんチート設定だよ! WC優勝校は誠凛だよ! 心霊現象あったことのない零感人間が書く適当設定だよ! 神様も妖怪も捏造設定だよ! 色々ご都合主義だよ! 全力で趣味に走ったクロスオーバーしてるよ! ほぼ一発書きの見直しなしだよ! 誤字脱字は心の目で補完するものだよ! 以上のことを理解したうえで読んでやんよ!っていう猛者だけが次に進めばいいと思うの・・・。 ・ [newpage] 【白猫】簡単なお迎えの仕方【監修】 にゃー にー みゃぁう みゃー! にぃう なぁお にゃん にゃぁあああ うなぁ にぃにぃ にゅあう にゃー なぁう みゃあう 灰「落ち着け、今出すから毛を擦り付けんな。 ちゃんと持って来たから。 おいコラ爪立てんな、上んな!! ちょ、袋に入ってくんな!!! 皿に出すまで待て!!!! 待てっつってんだろうが糞猫共!!! 差し入れやんねぇぞ!!!!」 みゃあああああ!!! しゃーーーー!!! にいいぃいいいいいい! みぃみぃ! なぁお にゃん!! 灰「群がるんじゃねぇ!! 皿おけねぇだろうが!!! 大人しく待ってろ!!!!! ………ったく、大人しくしてた方が早く出せんのになんでお前らは毎回毎回群がって来るんだよ」 むぁう にゃうう みぃ みゃぅ にゃん うにゃぁ にゃうにゃう みゃう みぅ にゃー 灰「………俺をからかってるとかねぇよな? おいこら顔逸らすんじゃねぇ。 お前ら普通の猫だよな? 妖怪とかじゃねぇんだよな? あの糞猫に影響されてんじゃねぇぞ。 普通の猫の反応しやがれ。 ってかマジで俺のことおちょくってんのか!!!!」 ニャー 灰「あ?なんだ、新顔か?」 ニャーン 灰「お前はこいつらみたいになるんじゃねぇぞ。 あの糞猫絶対俺のことについて色々言ってんだろうが、お前ら普通の猫なんだからな。 普通の猫のままでいてくれ」 ニャーン 灰「お前真っ白だな。 お、目も左右違うじゃねぇか。 オッドアイってやつだったっけか。 珍しいん…だ……ろ?」 ニャーン 灰「ぁ?」 みゃあああああう!!! ふしゃあああああああああああああ!! しーーーーーー!!! しゃーーーーーーー!!! にゃああああう!!! うなあああぁあああああ!!! みゃあああああああ!!! ニャン に!? みぃう! ぎゃう?! みゅううぅ にゃう!? みぎゃ!? ………ニャアン 結論 にゃうにゃんみゃうううにゃんにゃんにゃう!!! 天「ワォン、ワフン、アオーーーーーーン!(宜しい、ならば、戦争だ!)」 ・ [newpage] あとがき 慈母様はスレに呼ばれた後で灰崎君の誘拐を聞いて灰崎君の居場所特定しようとする前にスレ主が石田先輩だったというオチでした。 あれだね、少女マンガで王道な動物には優しい不良みたいな絵面です。 例えおちょくられるんだとしても、猫との触れ合いは御褒美です(真顔) ・.

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今日も今日とてここは平和である。 ただし何もない。 真っ白だ。 これは異常な空間のはずである。 「おい、じいさん」 「ん、なんだ?」 「この空間をなんとかする気は無いのか?いい加減なんにも無いと頭がおかしくなりそうなんだが」 「ふむ、そうなのか。 俺はそう感じたことはないのだが…まあ主がそう言うなら変えるとするか」 ここは三日月宗近 本霊様 の神域の中である。 そして俺は訳あって迷い込んだ挙句この付喪神様の主となった、ただの人間だ。 ちょっと浄化が得意でこの三日月と相性が良かっただけの人間、である。 この空間は初めて俺がやってきた時から何もない。 あの時は死んであの世にでも行ってしまったのかと思ったくらいだ。 お役人さんと三日月本人から聞いた話だと数十年このままだという。 たまにくるお役人さんですら心配になるのだから俺の感覚は間違っていない。 おかしいのは三日月なのだ。 これが生き物と物との違いなのか、それとも人の子と付喪神の違いなのか。 「それで、どのようにするのだ?」 「どのようにって言われてもだな…」 「主が望む空間ならどうとでもなるぞ」 「…は?どういうこと?」 「ある意味では幻想かもしれん。 主が居たいと思う場所を俺がこの空間で再現するのだ」 本霊様とはそんなことまでできるのか。 三日月の思考が斜め上すぎて俺の頭がついてこない。 しかしこの何もない空間はあくまで三日月の神域だから、もはや何でもあり、なのかもしれない。 そういうものなのだ、自分にそう言い聞かせて無理やり納得することにした。 そうだ、俺がこんなところに来てること自体おかしいことなのだから今更こんなところで思考停止しても仕方がない。 受け入れよう、これはそういうものなのだから。 「………へえ〜すごいんだな〜三日月は」 「これくらい本霊であれば普通のことよ」 「…どういうことなんだよ」 「ははは、まあそういうことだ」 「…ハイハイソウデスネー」 自分が居たいと思う場所、そんなもの家族のいるあの家だがそれを再現されても虚しいだけだからそれは嫌だ。 なら… 「普通の審神者は本丸ってところで暮らしてんだろ?なんかもう、それが一番無難な気がする。 一度資料で見ただけなんだがそれでも大丈夫か?」 「ああ、それなら大丈夫だ。 其処は見たことも行ったこともあるからな。 すぐに済む」 「へえ、なんか意外だな。 じいさんずっとここに引きこもってるイメージあったんだが」 「むぅ…まあ否定はしないが、それはここ最近の話だ。 以前はよく外へいっていたぞ」 若干ドヤ顔で言うが、そのここ最近とはどれくらい最近なのか…神様の最近なんて信用ならない。 どれくらい前なのか聞いてみたら案の定ぶっ飛んだ答えが返ってきた。 「外へ出る機会がなくなったのは50年ほど前からだな。 そう前の話ではないだろう?」 「はははははは何それ。 俺、生まれてないからな」 50年って半世紀だろう。 100年生きれば大往生の人間にとってはけっこう前だ。 そんな長い間独りだったなんて想像もできない。 三日月にとっては短い時間なのかもしれないが。 「まあどこぞの鳥ではないが細かいことは気にするでない」 「…鳥?」 意味のわからないことを言うと三日月はおもむろに立ち上がり、俺に目を閉じるよう言った。 言われた通りに目を閉じ、しばらくすると俺の頭に手を置き三日月は何かつぶやき始めた。 「…こんなものか」 パァン 手を叩く音がする。 と、その瞬間自分の周りを風が吹き抜ける感じがした。 先ほどまで気味が悪いほど自然のものを何も感じなかったというのに鳥のさえずり、木々の揺れる音、池の水の音、暖かい陽射しを感じる。 「もう目を開けて良いぞ」 その言葉に従ってまぶたを開ける。 「…薄々感じてたんだ。 もう驚かないぞ…」 「さて、どうだ。 主の思う本丸とはこのようなものでよいか?」 「うん。 もう俺の想像、というか資料で見た初期本丸そのもの。 暮らせればなんでもいいや」 「はっはっは!そうかそうか」 目を開けた先に広がる景色は新人審神者に与えられる本丸そのもの。 少し違うのは鳥やら鯉やらがすでにいるところか。 梅の花が咲いているから春の始まり、そんなところだろう。 数分前とは打って変わった空間にもはや何の驚きも感じない。 本霊さまの力とはそういうものだ、俺はすでに悟っていた。 「これで少しは安心して過ごせるだろうか」 「ああ。 ありがとな」 「よいよい。 主を助けるのが我ら刀剣男士だからな」 ここに迷い込んで来た時から非科学的で意味不明なことが続きすぎて、これは現実なんかじゃなくてもはや夢なのではないかと思う時もある。 けれどこの際これが夢だろうが現実だろうが関係ない。 俺のやるべきことは決まっている。 歴史修正主義者との戦いが終わるまで本霊三日月宗近の主として彼の務めを支え続け、そして最終的には家族の元へ帰るのだ。 [newpage] 「………………………」 「………………………」 本丸がどうなっているのか確認するためぐるりと中を見てきた後、一番大きい居間みたいな部屋に戻ってくると白猫と三日月が睨み合っていた。 「何やってんの…」 「………」 無視された。 いや、聞こえていないのだけらしい…だが一体何をそんなに集中しているのか。 ついでに言うならなぜかものすごい緊張感が走っている。 猫の方を見てみるとだんだん瞳孔が開いて大きくなっていく。 さらに尻尾がゆらゆら大きく揺れて今にも飛び出しそうな体勢だ。 そして、 ダダッ! 猫が三日月に向かって駆け出した…と思ったら手元を追いかけているようでよく見たら外に生えていた猫じゃらしの草を持っていた。 そういうことだったのか。 「ほっ」 三日月は猫が追いつきそうで追いつけない絶妙なタイミングでじゃらしている。 このじいさんなかなかやるな…じゃなくて、そこまで張り詰めた空気感出さなくてもいいのではないか。 一瞬この猫が何かしでかしたのかと思ってしまった。 「あなや、取られてしまったか。 お前の勝ちだな。 うんうん、元気なのは良いことだ」 しばらくはうまくじゃらしていたが最後には猫じゃらしを取られてしまった。 1人で猫じゃらしにじゃれついている猫を見ながら笑顔でそう話しかけている三日月は俺が戻ってきたことに全く気付いていない。 おそらく10分程は猫と遊ぶのに夢中で気付いていないだろう。 お前さんそれでも刀剣の付喪神なのか…。 「猫と遊ぶの随分とうまいなぁ」 「おお、戻ってきたか。 どうだった?」 「2人で睨み合ってるところから戻ってたんだけどな。 そうだな、2人…いや、3人じゃちょっとばかし広い気はしないでもないが、まあ良いんじゃないか。 割と気に入った」 「そうか、それはよかった。 」 部屋の真ん中に置いてあるちゃぶ台にどこから出したのか分からないがお茶が入った急須、それに湯飲みが出してあったので、取り敢えず座ってお茶を入れる。 今更怪しいだなんて思っても仕方ないし喉が渇いたから遠慮なく入れることにした。 すると遊び疲れたのか猫が俺の膝の上に乗ってきて、そろそろと丸くなった。 「疲れたのか。 はは、これはまるで鞠だな」 「でかい団子みたい」 「主は食い意地が張っているな」 「うるせえ」 「はは、そう拗ねるでない…しかしこやつ、此処にいる分にはこのままで何の問題もないが、外に出てしまった時にどうなるか…純粋で真白だからなあ」 この神域は現世と隔離された空間だ。 何か用がない限りは外部からの一切を遮断している。 もちろん穢れなんて入り込める余地はない。 三日月は付喪神の本霊でちょっとの穢れなどものともしないし、俺は浄化に特化した能力を持つ審神者だ。 此処にいようが外の世界に出ようがなんのもんだいもない。 けれどこの猫は死んでしまった子猫の魂だ。 神聖なこの空間に呼ばれたおかげで純粋で真っ白な魂を維持し続けて、未だあの世に還らずここにいる、ある意味珍しくて揺らぎやすい存在だ。 良くも悪くも染まりやすい。 確かにここにいる分には問題ない。 ただし、子猫というのは好奇心旺盛だ。 いつ誰かに付いて外に出てしまうか分からない。 外に出て穢れに当てられでもしたら一瞬で悪霊に成り果てるだろう。 そうなった時に俺はこの仔を迷いなく浄化できるのだろうか。 今ならまだできる、と思う。 けれどこの先ずっと共に暮らしていった時、家族と思える時が来たときに果たしてそんな大切な存在を己の手で消すことができるのだろうか。 …多分無理だ。 ならそうなる前に還してあげるべきなのではないか。 「この仔を、この魂を還してあげるべきじゃないのか」 「まあ、そうだな。 本来ならこのままあの世に還してやるべきなのだが…こやつ、俺の神気を取り込み過ぎたようでな、魂が少しばかり変質している。 もはや還す事は出来ない。 ただの猫には戻れないのだ…すまん。 」 「あんたが謝ることじゃないだろう。 確かに連れて来たのは三日月だが、あのままだと悪いなんかになって誰かを襲ってたかもしれないんだろ。 間違ったことはしてないと思うけどな」 「そう、だと良いがな」 三日月は力なく笑う。 この神様は妙なところで自信がない。 本当に神様かって思う時がたまにある。 これまでのことを考えると仕方がないのかもしれないが、そういうところは神様というよりとても人間くさい。 道具とも違うところがある。 難しいものだ。 「ま、そういうことにしておいて。 …じゃあどうすればいいわけ?」 「主がこやつに名を与えてやれば良い」 「なまえ?俺が、こいつに?」 「そうだ。 こやつはまだ自分という存在が曖昧だ。 自身が肉体を持って生きているのか、死んで魂だけの存在であるのか、そのことすら理解していないだろう。 そして名はその存在そのものを表すもの。 名を与えるということは、そやつ自身を与えるということなのだ」 「俺がこの仔の存在を与える…うええ…なんか責任重大じゃねえかよ。 三日月がやったらダメなわけ?」 別に嫌なわけではないが、子猫のこの先を決める重要なことなのだからただの人間の俺が何も考えずに名前をつけていいはずがない。 それだったら三日月にやってもらうほうがいいと思ったのだが… 「主がやったほうが色々お得だぞ?名を与えたものと与えられたものとの間で主従関係ができるのだ。 何かあった時に主を守れる存在になり得るのだからな」 「お得って…いやいや、いいってそんなの。 ていうか猫って本来なら主従関係なんてないだろ、犬じゃないんだから。 そんな、猫って存在そのものを捻じ曲げるようなことする必要ないだろう…」 「だからただの猫には戻れんと言ったではないか。 彼女とて本当に嫌なら名を与えられるとこを拒むさ。 そうなった時には俺が何とかするさ」 暫くの間、というよりいつの間にか無言でお互いを睨み合っていた。 ここまで来たら意地の張り合いである。 俺にそんな気はなかったが三日月の目つきがとんでもなく悪かったからおそらく俺も大層な顔つきになっていたのだろう。 「………………わかった。 ああもう分かったから睨まないでください!…何でもいいんだよな?」 「ああ、団子でも饅頭でも白玉でも何でも良いぞ」 「お前が俺のことをただの食いしん坊だと思っているのは分かった」 笑顔でそんなことを言うものだから、入れたて熱々のお茶をその顔面に投げつけたくなったが、生憎話し込んでいる間にいい具合に冷めていたためやめた。 お茶も勿体無い。 取り敢えずその程よく冷めたお茶を飲む。 そこのじじいにはやらん。 「そう難しく考える必要はないさ。 飼い猫に名付けるように気楽にすればよい」 「気楽に…」 ふと視線を膝の上の猫から庭に移すと梅の木が目にはいった。 なぜだかその小ぶりな木から視線を逸らすことができずに見入っていた。 「こいつ女の子だっけ」 「ああ、紅一点だな」 「じゃあ…小梅ちゃんでいいか?」 人の言葉は伝わらないだろう、そう思っていてもつい膝の上の生き物に話しかけずにはいられなかった。 すると不意に猫は顔を上げて俺の目を見つめて、俺を品定めするかのような視線を送ってきた。 居心地は悪いがここで視線を逸らしてはいけないような気がした。 しばらく見つめ合いが続いた。 そして白猫がみゃあ、とひと鳴きしてまた顔を埋めて鞠のように丸くなった。 …どうやら認めてくれたらしい。 一安心だ。 「うむ、気に入ったようだな」 「気に入ったのかは知らんけど、これでいいみたいだな」 「よきかなよきかな」 これでまた正式に不思議で小さな同居人が増えた。 さて、この先どうなるのか、皆目見当がつかない。 よい方向に転ぶことを祈るばかりだ。 [newpage] 小梅に名前をつけてーーここの空間に色がついて一週間ほどがたったようだ。 ここにいると時間の感覚がなくなるから定期的に訪れてくる役人さんは現世での時の経過を教えてくれる大事な人達だ。 今日も経過観察という名のお茶会が開かれている。 何気に楽しみにしているのだ。 なんせたまにだが、女の人がやってくる。 ここにはむさ苦しいというほど人はいないが、男2人とメス猫1匹では華がない。 圧倒的に目の保養が足りないのだ。 これは不倫などではない。 断じてちがうぞ。 「…えっと…お茶、大丈夫ですよ?すぐにお暇しますし」 「まあそうなんですけど、俺にとっては数少ないから人間同士で話ができる機会だから…これくらいはしたいんで」 「あ…そうでした。 こちらが無理にお願いした側だというのに、配慮が足りませんでしたね…」 「そんなに気にしなくても良いんです。 少しはこちらのことも伝えておこうと思っただけですからね。 まあこの話はこれくらいにしておいて、今日はどんな用事ですかね?」 俺は言いたいことを言って本題に入った。 その中身は2つ。 まず1つめはすでに終わったことらしいが、その報告をまだ受けていないため早くしろと上からの催促だという。 「京都市中、三条大橋、池田屋の報告が未だにないということなので早急に上げていただきたいとの事です。 私はまだここに勤め始めて日が経っていないのでまだ詳しくは聞いていないのですが…さすがに10年経っても報告がないのはいかがなものかと…」 「おいじじい早くしろ。 人の10年はお前が思ってるより相当長いぞ」 「ん?そうだったか。 それはすまんなあ」 「ほけほけ笑ってんじゃない!それ、今すぐできるの?できないの?」 「あるぞ。 いつだか忘れたが少し前に仕上げたはずだからな」 このじいさんのマイペースさには慣れたと思ったんだが、まだまだだったらしい。 もう頭を抱えてしまうほどである。 こればかりは政府も苦労していることだろう。 心の中でほんの少し謝った。 俺悪くないけど。 「あんのかよ!?なら早く出しなよ…」 「それが出し方がいまいちよくわからんのでな」 「わかんないの??聞けば良いじゃん」 そう言ったら困った顔をして三日月は答えた。 「初めは端末とやらを渡されてそこに書かれている事項に沿って報告して欲しいと言われたのだが、その板の使い方がさっぱりだったものでな、分からんから紙でも良いかと次に来た人間に聞いたのだ。 その時の人間はそれで良いというからちゃんと書いたぞ。 まあその次の人間に渡す時になってどこにやったか忘れてしまったのだが」 「んんん最後…ほんとにマイペースだなおじいさんよ…」 呆れるしかないのだが、それはこの刀剣にだけではなく人間にも当てはまる。 なぜあからさまに機械に弱そうなこのじいさんに端末を渡すのか。 今まで見てきた政府の行動から本当に自分たちの都合で動いてるんだ、そう思えて仕方がない。 「えっと…記録だと確かにそうなっていますね。 3人目も報告は受け取れず…あれ?その後誰も三日月様の神域にお邪魔していませんね。 どうして…」 「…はい?なんで?」 「え、えっと…報告書にはそこまでは…」 「おかしくないですかねえ。 そちらの都合で振り回しておいて勝手に音信不通ですか。 良いご身分なことで」 「……」 自分でもよくわからないけれど、彼女のどこかに自分の地雷があったらしい。 俺が攻め立てる体制に入ったのを察した三日月が、話に割り込んできた。 「…まあ、確かに来月までに見つけて欲しいと言われたきり誰もこなかったな。 しかしな、今となれば仕方がなかったとしか言いようがないのだ。 あちらも色々ややこしい事情あったのだよ。 だから主、そう睨むでない。 この者は何もしていないだろう」 「…え、別に睨んでないし」 そうは言ったが無意識ではない。 都合があろうが何だろうが協力してもらっている付喪神に対する対応ではない。 少しばかり傲慢ではないか、そう思っていたのが顔に出ていたのだろう。 目の前のお姉さんは縮こまってしまっている。 「親の仇でもみるかのような目つき、おおこわい」 そう言いながら三日月は俺の顔を摘んで伸ばしている。 痛くないから手加減してくれてはいる。 「やーめーろーーー」 「はっはっは、よく伸びるなあ」 三日月は一向に止める気配がない。 こちらが根負けした。 「分かった!俺が悪かったって!」 「む?…そうか、分かってくれたか」 ほっとしたように笑ってようやく頰から手を離してくれた。 赤くなってないよな…あとで鏡見よう。 「さて、俺はその紙でも探すとするか。 主はお客人からもう1つの話でも聞いていてくれ」 「あ、そいえば」 「す、すみません…忘れてました…」 「よいよい、ではしばし失礼する」 よっこいせ、そう言いながら立ち上がり三日月は居間を出た。 何十年も何もない空間に、ようやっと家と呼べるものができたのはごくごく最近の話だ。 それ以前の物が一体どこにしまってあるというんだ。 …そうだ、本霊様には常識など通用しないのだから考えても無駄なのだ。 そうして俺は考えるのをやめた。 ついでに頭も冷えてきたから三日月には感謝するしかない。 「すみません。 八つ当たりみたいなことしてしまって…」 「い、いえ…私も勉強不足、というか調べが足りませんでした。 申し訳ありません」 「…まあ、お互い様ということにしますか。 それで、もう1つの話ってのは?」 「あ、は、はい。 」 もう1つは三日月に会いたい付喪神様がいるのだとか。 もちろん本霊様である。 「えっと、それ本霊様が直接言いにこればいいのでは…」 「私もそう思って上司に話したのですが…本霊様たちにも事情があるのだからそれ以上話を掘り下げないで欲しいと、とても渋い顔をして言われてしまいまして…」 「うーん…何かありそう。 まあそれは後でいいか、分かりました。 三日月には伝えておきます」 「よろしくお願いします」 「あ、会いたい本霊様って誰ですか?」 「そ、そうでした…1番重要なことでしたね。 えっと、鳴狐様ですね」 「なきぎつね、さま」 「ご存知ないですよね。 三日月様に聞くのが1番いいと思うのですが、一応こちらでも資料をお渡ししますのでよろしければ」 そう言われて1枚の紙をもらう。 人間側から見た付喪神様の情報と言うのも大事なものだ。 資料を見ようとしたところでお姉さんがハッと腕につけている飾り?を見た。 ひ、光っているぞ… 「あ、そろそろお暇させていただきます。 これ以上はお守りが限界のようです」 「ああ、なるほど。 なんか大変ですね…お疲れ様です」 「いえいえ。 次はひと月後にお邪魔します。 申し訳ないのですが三日月様の報告はその時の担当にお願いします。 では、失礼します」 「はい。 ありがとうございました」 お姉さんはパッパッと身支度を整えたかと思うとすごい勢いで帰って行った。 普通の人人間が本霊様の神域に居続けるとただじゃ済まないらしい。 なかなかに大変な仕事だ。 …ところであのおじいさんはいつになったら戻ってくるのだろうか。 迷子になっていなければいいのだが…。

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